営業の丸井は、真っ直ぐな性格が災いして上司を怒らせてしまい、会社を辞めさせられそうになってしまう。その時、労働組合の委員長から「専従書記長」にならないかと声を掛けられた。一も二もなく引き受けた丸井だったが、前任者は突然辞めてしまい、具体的な仕事内容はまるで分からない。それでも、彼は新しい仲間とともに、手探りで仕事を進めていく。
労働組合という組織とは縁遠い業界にいるせいか、用語も法律も馴染みがなく、新鮮でした。主人公を含め、登場人物たちの存在感が素晴らしく、つい応援したくなります。対立する立場の人間も魅力的に感じられるのは、作者さまの筆力と思います。
物語は、スパイ映画のように盛り上がっていますね。最後まで楽しみにさせて頂きます。
A.法律では、「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体」
…でも、それって具体的にはなにしてんのさ?そこんとこkwsk!
そのような疑問に答えてくれるのがこのお話です。
営業一筋だった主人公が、ひょんなことから労働組合の専従書記長に誘われます。
今まで労働組合なんて気にもかけていなかった主人公は、組合で働いていくうちに…?
主人公が組合で働くまでの経緯からしてもう、胸アツです。
労務と対立したり、仲間に助けてもらったり、兄貴がカッコ良かったり、ネコが可愛かったり、梅宮さんが輪をかけて可愛かったり…
そんな人たち(+ネコ)に囲まれて組合の専従書記長として働くうちに、主人公がみつけた"労働組合の存在意義"と"組合で働く理由"とは?
そして、見えてくる様々な圧力や不正の影。"組合"は"会社"を救うことができるのでしょうか?
0217/10/14現在、まさにクライマックス!今、続きが一番気になるお話です。
仕事柄、労働組合と絡むことも多いので興味を持って読み始めましたが、労組の中でも専従(職場を休職・退職して組合活動に専念する)の方にスポットを当てた作品です。
デモだの対立だの、世の中ではあまり良いイメージを持たれていない組合ですが、社員がより良い環境で働けるようサポートを行う機能。本作では、その仕事っぷりと個性豊かな面々が丁寧に描かれています。
各章で出てくる敵役が秀逸。本当にいそうな方ばかりで、リアリティーを損なわずにアツいドラマが展開されます。
また、難解な用語・仕組みの説明についても、その話の字数自体を少なめにしたり、メール形式にしたりと工夫を凝らし、とても読みやすくなっています。
会社員なら頷きながら読めること間違いなし、会社員じゃなくても十分に楽しめる作品です!
私の中で、労働組合ってなんだかあんまり良いイメージがなかったんです。
普段お世話になる訳じゃないのに新人の安月給からも毎月組合費を天引きされるし、勤務時間外に変な動員かけられるし……。
という先入観で読み始めたお話でしたが、見事に覆されました!
まず主人公の丸井君の語り口が軽妙で、ストーリーがすっと頭に入ってきます。
難しい組織や法律の話も、軽い口調のメールなどを通してわかりやすく上手く説明されているので、なるほど、組合ってこういうことをやってくれていたのかーと素直に感心させられます。
そして、登場人物たちのキャラがいい!
作者様のリアルな知人の方々をモデルにしているというだけあって、作中の人物たちはまるで自分と同じ空間にいるかのように生き生きと動いています。
そんな中でもガチガチのリアルになりすぎず、ツン(デレ?)の女性やこんな先輩がいたらいいな❤️という兄貴分の委員長、とことんイヤラシイ攻め方で主人公を追い詰める上司など、物語をおもしろく盛り上げるスパイスが沢山散りばめられています。
真っ直ぐで熱い男、丸井君が頼れる仲間たちと一緒に職場の不条理に挑んでいく、堅苦しい肩書きからは想像もできない痛快なお仕事小説です!
労働組合と聞いて私が真っ先に思い浮かべたのは、デモみたいな、会社と対立する立場の組織なんじゃないかってことでした。
でも読めば分かります。
思ってたのと全然違う!
こちらの物語、労働組合って言葉すら凄く久しぶりに聞いた無知な私にだって非常に分かりやすく、そして丁寧。
なにより個性溢れる魅力的なキャラクターが目白押し!
次から次へと休む間もなく起こる問題に、そしてそれに立ち向かう主人公の丸井くんを筆頭としたメンバーたちに、ぐいぐいと惹きこまれます。
頑張ってる人を頑張れるようにする組織。
労働組合って、とっても素敵で興味深いですよ!
是非読んでみてください。
退職願と退職届と辞表は各々違うらしいが、とにかく書こう、
という、けっこうかなり衝撃的なシーンから始まるお仕事小説。
「ちょっとおかしいんじゃないか」と上役に直言した主人公は
あわや失業の崖っ淵から専従へのヘッドハンティングを受ける。
専従とは、企業内の労働組合に専門的に従事する人のこと。
大企業における企業内組合がどんな仕組みになっているのか、
右も左もわからないながら取り敢えず走り出す主人公と共に、
読者は(おそらく)馴染みの薄いお仕事の世界にいざなわれる。
組織の概略や力関係、企業内外の制度等に関する説明は多いが、
ストーリーに沿った上で的を絞った解説はとても読みやすい。
私は企業に在籍する身ではないから、あれもこれも新鮮で、
知らなかったこと、感心すること、驚かされることだらけだ。
周囲の人々との協力、共闘、理解、あるいは対立や反駁を経て、
論理と倫理と感情と利害を調整して、最適な環境を手探りする。
主人公、丸井の仕事がこれからどんな形で結実していくのか、
組合を巡る人間関係がどうなるか、最後まで目が離せそうにない。