旅の終着でこの手に掴んでいたものは、かけがえのない宝物だった

 数百年眠り続けた聖獣が目を覚ませば、大陸に蔓延する魔物を浄化できる──。
聖獣を甦らせる使命を抱いて旅に出た少女、ミスリア。彼女が旅の護衛に選んだ者は多くの人間の命を奪った笑わない死刑囚、ゲズゥだった。

 聖女ミスリアと罪人のゲズゥが旅の道中で出逢う人々は彼女達が命を救えた人もいれば、救えなかった人もいる。彼女達の命を救ってくれた人もいる。
仲間が増え、旅の供が増え、二人旅は三人旅、四人旅へと移り変わり、数々の困難を乗り越えた先に待つのは壮大な旅の終着地。

小さな聖女が与えた大きな奇跡は世界だけではなく、民衆から死を望まれていた男の人生と心をも救っていた。
これは世界を救う旅でもあるけれど、己にとっての唯一無二の存在を得るための愛の旅路でもあったのです。