主人公は30歳独身派遣社員の千代子ちゃん(相性はチョコちゃん)
チョコちゃんは私なんか……とよく思いがちな、ちょっと自己肯定感が低めです。
正社員になりたいのに派遣の仕事だってなかなか上手くはいかなくて恋愛にも臆病になり、思うような人生を送れない彼女をいつの間にか応援してしまいます。
作中には何度か「私なんか……」の言葉が登場します。正直、この言葉が私は好きではありません。
それは呪いの言葉でもあり、何事も上手くいかないことへの免罪符でもあるんですよね。
たぶんね、周りが「そんなことないよ、あなたは素敵な人だから自信持って」とどれだけ賛辞の言葉を送ったとしても彼女自身が自分に自信を持てないと本当の意味では変われないんですよね。
だけど私はチョコちゃんに言いたい。
「大丈夫。あなたはとても素敵な女性だよ」と。
もどかしい人生を送るチョコちゃんの憩いの場所が『喫茶MOON』🌙☕
チョコちゃんを囲む恋模様は少女マンガのようなきゅんきゅん要素もありますが、切なくなったり怒りが込み上げる部分もあります。
当のチョコちゃんが自分を巡る恋の気配に中盤までまったく気が付かないのも彼女らしさが出ています。笑
この物語は喫茶『MOON』とそこに集う人々との出会いをきっかけにチョコちゃんが勇気の一歩を歩き始める、ほんわか時々ほろりな恋と成長のお話です(*˘︶˘*).。*
追伸。桃もち様、その後のお体の具合はいかがでしょうか。1日も早い回復とカクヨムへの復帰を心より願っています🍀
引っ込み思案で自分に自信のない主人公、チョコちゃん。
仕事のこと、恋愛のこと、将来のことなど、チョコちゃんの悩みは特別でもなんでもなく、誰もが抱えている不安や辛さで、だからこそ沈んでいく気持ちがよくわかるし、伝わってくる。
それでもこのお話にはたくさんの優しい人達が出てきて、みんながチョコちゃんを支えてくれます。
みんなそれぞれの優しさがあって、それぞれのやり方でチョコちゃんを助けてくれる。
それがただたんに「いい人」として書かれているのではなくて、チョコちゃん自身の優しさに返すような形で接してくれているのがわかるのです。
彼女の語り口から伝わってくる謙虚さや人への気遣い、視点の柔らかさが周りの人をそうさせているのだろうなぁと、そう思わせるあたたかい空気が最初から終わりまでずっとありました。とても心地よかったです。
チョコちゃんの踏み出した一歩を応援しつつ読み終えました。前向きな気持ちをもらえる素敵なお話です。
派遣社員で過去の恋愛にトラウマのある、主人公のチョコちゃん。
彼女の行きつけの喫茶店『MOON』を中心に起きる、日常と淡い恋の大波小波を描いた物語です。
この喫茶店がとにかく素敵です。レトロなお店の雰囲気や美味しそうな料理、そしてマスターはイケメンの双子! 通いたくなること間違いなしでしょう。
ここに来る常連のお客さんたちとの交流を経て、チョコちゃんの人生は少しずつ風向きを変えていきます。
平凡な人生であっても、悩みは尽きません。事件だって起きます。
でも、ちょっとした楽しみがあるだけで日常は輝きます。
どのお店でお茶を飲むのか。誰にどんな言葉を告げるのか。小さな決断の一つ一つの積み重ねで、新しい道も切り拓けるかもしれません。
チョコちゃんと一緒に『MOON』に通っている気分でした。完結が寂しいです。
爽やかな風を感じるような、温かな光が射すような、素敵な読後感でした。どうかこの先も幸せでありますように!
最近は、お茶をするにしても大手のチェーン店が主流になっているかもしれませんが、街角にある落ち着いた喫茶店もいいものです。
本作の主人公、藤本千代子も、喫茶店を楽しむ一人です。
派遣会社で働く彼女は、仕事は決して順風満帆とはいかないけれど、喫茶『MOON』で過ごす時間が癒しのひととき。いつも頼む、ロイヤルミルクティーと卵サンドには、すっかり虜になっています。
そしてこの喫茶『MOON』の魅力は、食べ物だけではありません。自分は、喫茶店といえばカッコいいマスターがいるはず、なんて偏見と願望を持っているのですが、本作もその期待に違わず、イケメンマスターがいるのです。しかも二人も。
昼は兄の貴教さん、夜は弟の克己さんという、双子が交代でマスターを担当するというシステム。しかもこの二人、ただ顔がいいだけでなく、とっても優しく気さく。千代子さんのことをチョコちゃんという愛称で呼びながら、時に悩みを聞いて、時に元気になる言葉をかけてくれる。その様子は、まるで大人の少女漫画を読んでいるかのようでした。
そしてそんな素敵な喫茶店には、同じく素敵な人達が集まるようです。
先に挙げた、チョコちゃんという愛称の名付け親、東雲のおばあちゃん。そして、チョコちゃんにとってなんだか気になる年上の眼鏡紳士、マルさん。そんな素敵な人達の集う喫茶『MOON』で繰り広げられる、温かな人間模様。そして恋愛。いつまでも見守っていたくなります。
派遣会社で働く独身女性、藤本千代子さん。
仕事は急がしく毎日大変だけれど、そんな彼女の密かな楽しみは、お気に入りの喫茶店『MOON』に通うこと。
家で一人で食べるご飯は味気なくても、落ち着いた雰囲気の喫茶店で食べるご飯はとても美味しく、仕事の疲れも忘れてしまいそう。
しかもこの喫茶店、料理が美味しいだけではないのです。
双子兄弟がマスターをやっているのですが、この二人がイケメンで人当たりがよく。常連客である千代子さんのことを「チョコちゃん」なんてあだ名で呼んでくれて。チョコちゃんはもちろん、読んでいるこっちまでドキドキさせられるのです。
こんなイケメンマスターが二人もいる喫茶店なんて、気に入らないはずがありません!
そして、類は友を呼ぶのでしょうね。この喫茶MOON、マスターだけでなく常連客もいい人達ばかり。
気さくで優しく話しかけてくれるおばあちゃんもいれば、歳上の眼鏡をかけた素敵な紳士殿も足しげく通っていて。そんな人の輪に入っていると、忙がしかっただけの日常が鮮やかに彩られていくよう。
そして素敵な人たちに囲まれていると、恋心も動き出します。
イケメン双子マスターに年上紳士さんもいるなんて、どんな胸キュン喫茶ですか。
文章がとても柔らかく、ふとした出来事やかけられた優しい言葉にドキドキするチョコちゃんの気持ちがよく伝わってきて、非常に共感させられました。
喫茶店が好きな方、ドキドキする大人の恋愛が好きな方は読んで損なしの、素敵なお話です。