★★★ Excellent!!! 伊藤氏の要素と七瀬氏の作風が混ざり合った良作 朝霞 はるばる 伊藤計劃氏の作品(特にハーモニー)を読んだことのある方なら見覚えのある、もしくは似たような系列のガジェットに気づくことができるだろう。設定にも氏の魂が宿っている。 そしてそれらが七瀬氏特有の作風と混ざり合い、新しい一本の短編としてできあがったのがこの作品だと思う。これは氏へのトリビュートとして相応しいものだと思う。(なんか上から目線っぽくてすみません^^;) レビューいいね! 0 2017年5月12日 15:06
★★★ Excellent!!! 彼の残した自我の種 島野とって カズオ・イシグロ著『わたしを離さないで』を思わせる冒頭、少年少女たちは戦場へ出荷されるため育てられているのだという。 けれど、そんな絶望的な境遇にあって彼らはあまりに幸福だった。 その幸福と喪失、そして人類への愛情を描いた中編。 本作の見どころは、「ヒューマノイド・ドローン」と呼ばれる少年少女たちの慎ましく切ない交流、見え隠れする不穏な影と後半のどんでん返し、そしてあまりに絶望的な人類への愛情だ。 互いに接続され完璧な相互理解を行うヒューマノイド・ドローンたちは、今の私たちが享受できないような幸福を得ている。 その静かで満たされた描写は美しかった。 もっと読んでいたいと思った。 けれど、彼らは兵器なのだ。 自らの半身にも等しい仲間たちとは、いつか別れなければならない。 彼らは穏やかに抗い「おまじない」をかわす。 おまじない。 それは、互いに名前を付け合うこと。 ヒューマノイド・ドローンは死んでしまうが、名前は残り続ける。 たとえその名の主が死のうとも、頭の中で思い返し、呼びかけることはできる。 そうして沢山の半身を失い、沢山の名前を刻んだ主人公は、幾度もの戦いを経てこの世界の秘密を知ってしまう。 そしてその真相を、仲間たちへの愛情を、人類への愛情を、物語として残す。 どんでん返しから結末に至るまでの描写は圧巻だ。 前半の穏やかさに引き立てられ、主人公の経験した激情は読者すら侵すほどの熱量を持つ。 紛れもない私たち、人類に向けられた主人公の愛情を、私は受け止められるのだろうか。 そんな事を考えてしまう。 そして主人公が同じくらい深く愛した仲間たち。 彼らの為にできることは何だろう。 その選択がタイトルとして、この物語を規定する。 相互理解、無為の愛情、幸福とは何か、何が残せるのか。 そんな深淵なテーマを投げ… 続きを読む レビューいいね! 0 2017年4月23日 09:02
★★★ Excellent!!! 美しく悲しい「子供たち」のお話 深水映 *ふかみえい 人類によって人工的に作られた「ヒューマノイド・ドローン」たちの物語。 純粋な子供たちに、魅力的なヒロインのセラ。彼らが本当に魅力的で、世界観やストーリーも、残酷で切ないのに、とにかく繊細でキラキラしてて美しいです。物語は最初から不穏な予感を仄めかしつつも穏やかな調子で進んでいき、それだけに胸が締め付けられます。そして、色々考えさせられます。人類ってなんだろう。命って? 忘れがたき故郷のように、心に残り続ける名作です。 レビューいいね! 0 2017年4月5日 19:38
★★★ Excellent!!! おやすみ――その種は、物語は確かにわたしたちの心に根付いたよ 笛吹ヒサコ タイトルが、すべてを語っていたにも関わらず、最後まで読み切るまでその意味にまったく気がつきませんでした。 主人公にとって、まるで残酷な夢から目覚めさせるような「おやすみ」は、彼が大好きだった人類、それから『子供たち』に撒かれた悲しくも残酷な悪夢へ誘う子守唄のようでした。 とにかく、ぜひ読んで打ちのめされてくださいm(_ _)m レビューいいね! 0 2017年4月3日 08:39
★★★ Excellent!!! 人類にこのラブ・ソングが届きますように ごんべえ 兵器として出荷される子供たち。 いつか人間になることを夢見る少女と彼女に恋をする少年の物語。 いま、彼は歌う。 このラブ・ソングが愛するすべての人々に届きますように、と。 レビューいいね! 0 2017年4月3日 01:49
★★★ Excellent!!! 人類に模して作られたものたちのボーイミーツガール @kuronekoya 作者は『ひとりぼっちのソユーズ』の七瀬夏扉さん ソユーズ同様、やわらかでどこか寂寥感のある文章と世界観に引き込まれます ひとつひとつの章がほどよい短さなのも、読みやすさの理由のひとつかも そしてきっと最後に「スタンドアローン」の意味を知る あまり詳しく解説するのは野暮というもの ぜひお試しあれ レビューいいね! 0 2017年3月28日 21:17