思考の錆

 狭い部屋の中で一人、小さな無を集め、丸めて、巨大な団子を作って遊んでいると、あたり一面に砂が広がっていた。


 しばらくしたらおじさんがやって来て

「この砂場は君のためにあるわけじゃないんだよ」

と言い、私を追い出した。


 途方に暮れて遠くから砂場を見つめていると、ずっと横にいた彼が

「ここもあそこと同じように砂場にして僕らだけで遊ぼう」

と言った。僕もその意見に賛成だった。


 それから五年くらいそこにたくさんの砂を運んだ。でも砂場が完成した時には二人ともひどく疲れていて遊ぶどころじゃなかったよ。


 ぼくたちは砂の上で服がよごれるのも気にしないでねむった。


 つぎにめをさましたとき、彼はいなかった。


 さみしくてないてしまった。


 でも、せっかく砂場を完成させたんだ。一人でも遊ばなくちゃ。


 涙を拭った。


 するとそこは私の部屋で、目の前にはいつも通りパソコンが置いてあった。

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短文 猿の退化系 @horkio118

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