短文

猿の退化系

短文

 私とはすなわちストーブで扇風機だ。


 夏は扇風機。ずっとあなたと向き合う。薄着でアイスを食べるあなたを無言で見つめる。ダラダラと汗をかいて家に帰ってきたあなたを眺める。本を読んでいたらいつの間にか眠ってしまっているあなたと一緒にいる。


 冬はストーブ。またしてもあなたと向き合う。「こたつが欲しいな」などと小生意気な口を聞くあなたを見つめる。震えながら帰ってきたあなたを眺める。いつも通り本を読みそして眠ってしまうあなたと一緒にいる。


 季節の変わり目にはだんだんあなたとの距離が開いて、春と秋は押入れ行きなんだけど。


 夏が始まったり冬が始まったりして、私はあなたと再び一緒に過ごす。


 私たちは終わりと始まりを繰り返す。

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