Web小説の皮を被った、冒険少女のジュブナイル小説

どこかプリキュアのセンター戦士感があるヒロインが、明るく正しくハッピーに、恋に悩んだり友情に胸を痛めたり、はたまたゲーム世界では、見知らぬ誰かの魂を取り戻す冒険に出る物語。

ケータイ小説ともWeb小説とも見える文章で、少女の友情や恋の物語を、現実とゲーム世界の双方で描き出す、アクロバティックなエンターテインメント小説――いや、ジュブナイル〈成長物語〉だ。



文体がそれっぽいからといって、これをただのWeb小説と思ってしまっては、作品が持つ真価を理解出来ないかもしれない。

つまづきがあり悩みがあり、苦しみに涙するからこそ、その壁を乗り越えていく主人公の力強さが読者の胸を打つ。感じられる小説なのだ、本作は。


“ストレス展開”なんて言葉まで使って「そういう話」を嫌っていては、こういう作品には出会えない。実に勿体ないことだ。

そんな話は苦手だよという人にこそ、読んで味わって欲しいと思う小説だ。きっと、心に刻まれる何かがあるだろうから。


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