きみと駆けるアイディールワールド―緑風の章、セーブポイントから―

作者 馳月基矢

32

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★★★ Excellent!!!

西暦2058年の近未来。主人公・甲斐笑音は17歳の花の女子高校生。治療方法のない難病を患う父親のために、看護師を目指している。優しい美声のイケメン教師・風坂先生に、目下片思い中。
オンラインRPGのなかで、笑音は美声イケメンの魔術師に出会う。ネットでもリアルでも、恋が出来てハッピー!
笑音と同居の元・従兄弟(現在は義弟)、瞬一は美形の秀才で、やはり医師を目指している。笑音の親友・初生が彼に恋していることを知り、笑音は橋渡しをしたいのだが――

現実世界での恋と友情の衝突、先端医療と倫理の問題。ゲーム世界での心理的な葛藤や冒険など――複数の問題をかかえた登場人物たちが、仲間とともに困難を乗り越えていく、いわば王道の異世界ファンタジーです。

笑音ちゃんの一人称のノリがよく、とにかく楽しい。RPGゲームは全くしたことのない読者ですが、つい一気読みしてしまいました。世界設定や登場人物が、しっかり創られていたからだと思います。もふもふのチンギス・ファミリーに萌えます。
十代ならではの恋と友情、進路に関する悩みなど、当時を懐かしく思いながら読ませて頂きました。

難病や先端医療などの重い問題を扱いながら、結末が爽やかで、ご都合主義的な苦さを感じさせないのは、物語(登場人物たち)の根底に、希望と優しさがあるからだと思います。
未来を生きる力を与えてくれる作品です。

★★★ Excellent!!!

どこかプリキュアのセンター戦士感があるヒロインが、明るく正しくハッピーに、恋に悩んだり友情に胸を痛めたり、はたまたゲーム世界では、見知らぬ誰かの魂を取り戻す冒険に出る物語。

ケータイ小説ともWeb小説とも見える文章で、少女の友情や恋の物語を、現実とゲーム世界の双方で描き出す、アクロバティックなエンターテインメント小説――いや、ジュブナイル〈成長物語〉だ。



文体がそれっぽいからといって、これをただのWeb小説と思ってしまっては、作品が持つ真価を理解出来ないかもしれない。

つまづきがあり悩みがあり、苦しみに涙するからこそ、その壁を乗り越えていく主人公の力強さが読者の胸を打つ。感じられる小説なのだ、本作は。


“ストレス展開”なんて言葉まで使って「そういう話」を嫌っていては、こういう作品には出会えない。実に勿体ないことだ。

そんな話は苦手だよという人にこそ、読んで味わって欲しいと思う小説だ。きっと、心に刻まれる何かがあるだろうから。


★★★ Excellent!!!

白状すると実は最初の数話で、しばらく読むスピードが、落ちていた。あくまでも、軽やかに始まる物語が、どこへ向かっていくのか、やや戸惑ったせいもある。
それが、変わるのが中盤以降。薄っぺらく見えていたゲームの世界にみるみるうちに血が通い、この作者さんの真骨頂である骨太のストーリーラインが姿を現す。医療と倫理、ゲームと現実世界、家族と友情、恋愛。あくまでも軽やかに明るいヒロインが、なぜ明るくなくてはならなかったのか、腑に落ちる頃には、しっかりストーリーにつかまれていた。そして不覚にも泣かされた。

★★★ Excellent!!!

最新話まで拝読しました。看護師を目指す高2の女子高生が現実とゲーム、それぞれ世界でイケメン(イケボ)に興奮したり友達の恋愛を応援したりと、それこそ現実の女子高生らしい生活を送っていく――というような大変楽しげな内容です。

イケメンに目がない主人公は、当然ですがキャラが立っています。そのちょっとオッサン(?)気味な反応にクスッときてしまうこともしばしばありました。ただ、気になるのは『この物語はどこに向かっているのか?』というところですね。良い意味で先が読めないのです。ですが物語が進むと収束していくのでしょう。「そうきたか!」と驚かせていただけることを期待して、★3です!