第1話 貴様、何者だ?

「ハァ、ハァ、ハァ……」





何処からともなく少女の荒い呼吸が薄暗い森の中で微かに聞こえる

白いフードに青っぽいワンピースに近いドレスを着ているのだが、木の枝か何かに引っかかったのか、所々服が破れているようだ




少女はチラチラと後ろを確認するとスピードを落とし、その場で立ち止まる




「ハァ、ハァ……振り切────った?」




どうやらこの少女は何かに追われていたようだ

一体何からそんなに逃げていたのだろうか?

少女が一安心して木にもたれ掛かると森の奥から何やら音がする



ガサガサガサガサ



「フフフ、みぃーつっけたぁ」

少女を嘲笑い、弄ぶかのように木の後ろから顔を出した1人の女が現れた



「ひっ!」

思わず少女は驚き、後ずさる






「ダメですよ〜逃げちゃ……大人しくして下さらないと困りますよ?お・ひ・め・さ・まぁ!?」

女が腰にある小刀を左手で持ち、ゆっくりと少女に近づくと勢いよく小刀を少女に振りかざす



「いやぁぁぁああ─────!!!」

少女は顔を手で覆い隠し、地面に座り込んだ








だが……数分経っても痛みは感じなくて恐る恐る目を開けてみると顔は見えないが、釜を持ったボロボロの黒いフードを着た人が先程の攻撃を受け止めたようだ




いきなりの出現により女の方も“チッ”と舌打ちをしていたのが分かった

助けてくれたこの人は一体何者だろうか?




「おいおい、こんな程度の力か?魔法使いの癖に呆れるぜ……って所詮お前らはニセ魔法使いか?ハハハッ!」



「貴様、何者だ?」



すると、彼はフードに付いている帽子をゆっくりと外し女に向かってニヤリとその赤い瞳で睨みつけ答える


「俺か?フッ、そこらじゃそこそこ有名な死神の使い手なんだが?まぁ、一様名乗っとくか……俺の名は一輝だ。よく覚えとけ」



右手から黒い霧が出るとそこには死神の釜が出現し、斜めに振りかざした





「ぎゃぁぁぁぁああ!!」





女はチリとなって消えていった














一輝と名乗る死神使いは、武器を収めて後ろを振り向いた



「大丈夫か?」





「うん、ありがとう……」

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魔法使いの運命 澪菜 @Reina-Airi

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