息の仕方すら忘れてしまう、奇病のお話

 私たちもまた、不要な記憶から脳が忘れていきます。赤ん坊の頃に見た母親の顔や、就学前に好きだった色。もしかしたら中学生の頃のクラスメイトの名前さえも思い出せないことがあるのかも。
 私が挙げた例は、あくまで過去の人生にはあまり関係の無い不要な記憶ですが、この物語に出てくるミルクパズル症候群に罹った者は、過去の記憶から日常のありとあらゆる記憶を無くし、最後には呼吸の仕方すらも忘れてしまい死に至る。そうならないために端子を取り付け、記憶のバックアップをとることしか方法はない。
 それにまつわる疑問と、私を見失わないための約束の温かくて、淡い雰囲気のお話です。
 

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