タイトルに興味を引かれ、どういう意味かと思いましたが読んですぐに納得しました。とてもお上手なタイトルで、まずそこも惚れ惚れです。
文章力が素晴らしく高くて世界観に浸りやすく、読み進めていてわくわくが止まりません!なにより元魔王が冒険者となり、一から成長していくという興味深い設定を本当にうまく利用し、表現していて読めば読むほど今後の展開が気になりますね。
元魔王というだけあり、ぽろりと零される不穏な発言がまた良い味を出していて最高です。バトルシーンの熱さだけでなく、人間関係などの温かさにも涙腺が熱くなりました。
この深みは是非直に読んで味わって頂きたいです。
どう見ても明るい感じの題名なのですが、実際はダーク寄りのファンタジー。死人も出ますので楽しいだけの冒険者物語を想定していると心が抉られます(抉られました)。
仲間側にも感情移入しやすい人ほど話を読み終えた後に湧き出る感情が強いと思います。
レベルシステムの原理などをしっかりと構築しており、魔族側、パンダ側のそれぞれの思惑が絡み合い重厚な世界を作り上げています。
個人的には不自由こそが自由というスタンスは同意見で、制限の中でこそ活路を見出す楽しみというものがあります。
自分の書く物語にもいかせる部分が多く、とても楽しく読ませていただきました。
タイトルだけ見ると、元魔王がチートな能力で無双でもするのかな、と思ってしまうでしょう。
読んでみればわかりますが、全然そんなことはなかった。むしろ、出会った仲間との間に生まれる絆、成長、息つく暇もないほどの濃厚なバトル。どれをとっても、物語を面白くしてやろうという作者様の意気込みを感じます。
主人公のパンダの冒険を楽しもうという想いはもはや信念であり、どんなことがあっても曲げません!
王道っていうのは、ありきたりとは違うと私は考えています。誰もが面白いと言ってもらえる物語の基礎がしっかりしている。
この作品は「元魔王が」というちょっと変わった設定はありますが、まさに王道と呼ぶにふさわしいと思いました。
第一章を読んでの感想です。
さらに読み進めて、楽しみたいと思います
現在(2017年4月21日)31話で19万文字も書かれている本作ですが、未だ物語は始まったばかり!
ゆっくり、じっくりと進んでいく感じの大作です。
退屈な世界から飛び出し、枷を自ら嵌めた元魔王の物語であり、その行き着く先がまだまだ作中では示唆されていないので続きが気になる作品です。
プロローグから暫くは、面白いのだけれど疑問が溜まり、モヤモヤするかも知れません。しかし10話~14話にかけて、モヤモヤの答えが書かれていますので、それを過ぎればドンドン読み進めてしまうこと請け合いです。
タイトルから獣人転生物かなと思って読んだのですが、全く違う印象だったのでびっくりしました(良い意味で)
高い筆力のある作者様なので、ぜひ完結までこぎつけてもらいたいと思える秀作でした。
ご一読あれ。