奇の無い物語の良さ

 子供の頃、じぃちゃんが連れて行ってくれた寿司屋を思い出した。
 今思えば、クソ生意気なおっさんだった。
 だけど、腕は一流だったな。
 まだ子供だったから、寿司の値段なんてわからない。
 じぃちゃんに「好きなモノ食え」って言われて、育ち盛りだからバクバク食ったんだ。
 その後じぃちゃんから「お前に寿司の食い方教えてなかったな……」ってしみじみと言われたのを思い出した。

 そんな私も二十歳を過ぎた辺りから、寿司屋やってる友達の店で毎日朝方までバカ騒ぎしていたっけ。
 あの頃も成長は無かったが、楽しい毎日だった。

 あれから何年たったかな?

 寿司の食い方、頼み方……
 最近、少し上手になっただろうか?

 そんなことをふと思い出してしまった。

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