本当の「異世界へ転移する」ということ

読者に媚びた様な「異世界に転移したぜヒャッハー、チートでハーレムでウハー」なラノベの安易な設定に対するアンチテーゼ。

実際にそれがあるならきっと「この世界からどこかに行ってしまうこと」という現実に絶望する人がどれほど多いかということ、そして「行く」ことが「逝く」ことでもあり「去る」ということでもあること。親しい人との不本意な別れがそこにあることを、この作品は皮肉でもなく淡々と描写しており、そこに作者の物書きとしての品位を感じて好感が持てた。

目のつけどころ、表現の仕方ともに素晴らしく、美しい余韻の終わり方に、読み終わってため息をついてしまった。素晴らしい作品です

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