異文化が混ざり合う町、フォートレスト。
移住者達で構成されたその街には、入り浸りたいにぎやかな酒場も、素敵な雑貨屋も、毎日通いたいカフェもある。
そして、不思議な魅力を持つ店主・ジョゼと、可愛らしいメイドさん・セロがいる「ジョゼの店」も。
この物語は、世界規模の大きな物語と、フォートレストの日常を舞台にした小さな物語がパイ生地のように幾層にも重なっております。
どちらにも共通しているのは、作者様の美しい筆致と、何度でも味わいたくなる奥深い趣きです。
大切に、一口ずつ味わいたい特別な料理のような。
そんな素敵なハイファンタジー、ぜひとも味わってください!
……ちなみに私は、ヴァグダッシュの酒場に通いたくてたまりません!!(≧▽≦)
自由を尊重する街、曰く付きの者が集う街、フォートレスト。
そこで何でも屋的に住人達の依頼や相談を引き受けるジョゼと、少し不思議な少女セロの周りで起こる出来事を綴りつつ、過去を紡ぐ叙事詩やフォートレストを挟む国々の陰謀などがゆっくりと複雑に絡んでいく壮大な物語が本作です。
(第八章読了時では、これから物語が壮大な山場へと向かっていこうとする印象です)
異世界ファンタジーの人気路線からはきっと確実に離れている物語なのだと思います。
しかし、ハイファンタジーの重厚で幻想的な雰囲気が物語の土台となりつつも、ラノベ的な愛嬌のあるキャラクターが笑いを添えたり、ミステリーテイストの事件が絡んできたりと、圧倒的世界観にも読者が抵抗なく入り込めるような入口が随所に散りばめられており、その独自の世界に心地よく浸れるようになっています。
あくまでも私の推測になりますが、作者様は多民族が共存する文化をよくご存知なのではないかと思います。
(ともすれば、ご自身がその中にいらしたのかも)
フォートレストの街が、そこに集う人が、まったくの架空でありながらも、その息遣いや奏でる音、臭いまでもが伝わってくるように感じられるのは、そのような背景もあるのかもしれないなどと感じました。
第八章読了時のレビューです。
この作品はジョゼという人物を中心に、
フォートレストという名の街で起こる出来事を綴る作品です。
他国からの移民が集まり作られた街という経緯があることから、
人種や過去の経歴などバラエティ豊かな人物たちが登場します。
国民の大多数が同一民族である日本人の私たちには、新鮮な光景に見えると思います。
ジョゼの仕事の内容上、ストーリーは事件簿、ミステリーの要素が強いですが、作中に登場する物だとか歴史だとか世界観がしっかり作られており、
時々、色恋模様とか登場人物の過去にまつわる話もあることから、
「事件簿もの」ではなく「異世界の街での暮らしを描いた」作品であることを実感しました。
また叙事詩では、がっつりファンタジー感がある魔法についての話や哲学的な話も出てくるので、
「様々な表情を見せる」異世界作品の良作だと思います。
興味をもたれた方はぜひ一読ください。
フォートレストという街がある。
広大な王国と強大な帝国の狭間にある地。かって人が生きるには不適とされた地に勃興した自由都市。国家と言うにはちいさく、深い森に囲われた緑塵濃緑の街。
社会制度に縛られていた人々にとって、この自由というものが解放した個の発揮からくる高揚は、いまだかって誰もが体験したことの無いものであり、そこから生み出される多彩な喧噪と熱気は、何事にも代えがたい光を放っている。
「麗しき都市フォートレスト。魂の故郷よ……」
この物語は、そのような街【フォートレスト】を愛した人々によって繰り広げられる叙事詩である。
個人的には、このような都市国家が世界でどのような影響力をもつのか?
幾多の物語を経てどう開花するのか? に興味がつきません。
そんなふうに想像を掻き立ててくれる物語に出会えました。
みなさまも旅立ってみませんか。輝かしき都市へ。
…………。
↓ええと、ここからは蛇足です。没レビューです(ここでやめておけよ
兄ちゃん、人はなんでひとつしかレビューできひんの?
●異世界もいいけどハイファンタジーもね。
「おまえがいうな!」と、知っている方からはツッコみをうけそうですが。
それほどまでに浸れる物語(ファンタジー)です。ハイファンタジーは大人の嗜みですね。
ぜひともリラックスできる時間に、……そうですね、お好みのお酒とともに。あ、呑めないかたは珈琲でも紅茶でも日本茶でも烏龍茶でもヘルシア緑茶でもいいです。
そのように、ゆったりと読まれてはいかがでしょう。
そうすれば、貴方の居場所はそこにあるはず
――ヴァグダッシュの酒場へと。
●敷居たけぇ! そびえる重厚な語り口と設定に圧倒
でも、ここで引き返したら試合終了です。姿勢を低くして、生唾をのみこみながら慎重に先にすすみましょう。
ゆっくりと、自分のペースで。これは登山です。読書という名の登山。
しかしながら、えてして絶景はそのような難所の先にこそあるものです。
ぜひあなたも発見者になってください。そびえる山にあるという、カクヨムの空中都市。その名は【フォートレスト】
「フォートレスト ジョゼの店 第7章」〈後編〉まで読んでのレビューとなります。
主人公の男、ジョゼとその助手の少女、セロを中心に短編形式で物語が綴られていきます。
彼らの周りには、時にはミステリアスな事件が起き、時には恋のようなキュートな出来事が起き、そしてある時には、闇が見え隠れする……。
中世の雰囲気がある街並みで起こる様々な出来事がひとつひとつのエピソードで丁寧に描かれています。
食べたことのない肉がとても美味しそうに描写されていたり、行ったことのない酒場の喧騒が直に伝わって来そうな描写だったりと、読んでいてまるで彼らと一緒にいる(私も助手のひとりになった)ような気分になります。
まだまだ序章といった感じがして、これから壮大な物語が待っているのではと思いますっ。
続きの更新も楽しみな作品です。
自由な魔術都市「フォートレスト」を舞台にした、ハイファンタジーの雰囲気が素晴らしい作品です。
この物語は叙事詩のような、魅力的なエピソードがつまった短編で構成されています。
それらの短編がつながることで、ストーリーが流れ、日常生活が浮かび上がり、キャラクターがつながっていき、厚みのある物語を作り上げています。
また雰囲気のある読みやすい文章、短いながらも練られた構成で、それぞのエピソードがなんとも味わい深い、深い余韻を残す物語になっています。
主人公は、この町に住む不思議な男「ジョゼ」。なんとも謎の多い男で、彼はこの町で『何でも屋』のような仕事をしています。そして彼の助手をつとめる少女「セロ」。
この二人が沢山の人と知り合い、ある時は事件を解決し、ある時はトラブルを解決し、魅力的で猥雑なフォートレストで楽しく暮らしていきます。
その様子は叙事詩でもあり日常的でもあり、でも読んでいてとにかく楽しいのです!
読めば読むほど楽しく、世界が奥行きを増していく感覚、もっともっとキャラクターを眺めていたくなる、そんな楽しい物語です。
ぜひぜひ読んでほしい物語!
そして作者様にはどんどん続きを書いてほしい物語です!
出だしで少しつまづきますが、そこも含めて作者様の思惑だとわかった時は悔しくなります(笑)
WEB小説というよりはハ◯カワ文庫の海外ファンタジーを読んでいるような。そんな気分に浸れます。
ただしそれは、紙の読物に慣れている人の場合で、WEBに慣れているスマホ読者には酷な構成かな、とも思います。
この問題は非常に難しく、雰囲気や読みやすさ、はたまたオリジナル性など、何を作者様が優先するのかによって変わってきます。
『frotrest』の場合は明らかに、意図した雰囲気優先の構成で画面のデザインがなされています。
要するに『骨太な物語に飢えている』人をターゲットにした作品。
物語自体はとてもビターなテイストで綴られており、非常に面白く、先が気になること請け合いの高い筆力で書かれていますので、オリジナルのファンタジー世界で遊び続けることが出来ます。
WEB用に最適化された読物しか読んでこなかった方にとっては、まさに入門書となるような、お手本的な物語。
未だ未完の作品ではありますが、是非読み続けていきたいと思いました。皆様も一緒に読んでみませんか?
きっと素敵な感覚が待っていますよ(*^^*)