任務:取り残された冒険者を救い出せ!!・二

「ぬぅ…ッ!!」

 

---長大な剣がスケルトンを数体纏めて吹き飛ばした。

 

俺の装備は、ダンジョンで手に入れたこの鎧と、壊れてしまったロングソードの代わりに作ったクレイモアだ。

 

アリス曰く、冒険者の成長の仕方は人それぞれで、すべての能力が均等に伸びるのではなく、その人によって伸びやすい技能が違うらしい。

 

スピードとスタミナに特化した俺は、鎧の防御力を生かした突撃を。

 

「せいっ!!オラァ!!」

 

---右手に持った槍の広い穂先がその頭蓋を砕き、左手に持ったラウンドシールドが骨の体を吹き飛ばす。 

 

耐久力と筋力に秀でたダリルはタンク役を。


と言った具合に、それぞれ得意な技量を活かして戦うのだ。

 

「お、お二人とも…すごいですね…!!」

「ええ、まあね。(ゴブリンの巣に放り込んで、一週間もほっといたら強くなったなんて言えないわ…。)」


ゾンビの足を払い、倒れた勢いを利用してその首をはねる。

 

ダリルの槍が、俺に近付くスケルトンを切り払った。

 

「悪い。」

「気にすんな。」

 

周りを軽く見渡すと、見える範囲にはもう魔物は居ないようだった。

 

得物を鞘に納め、アリスと少女の元へ戻るのだった。

 

○○○○○○

 

進み始めて約二時間。

 

上層、中層共に突破し、俺達は深層の第二区画へ足を踏み入れていた。

 

「そ、そろそろです!」

「ああ。」

 

背中の剣を抜き放つ。

 

前方から、激しい戦闘音、そして血の匂いが届いて来るのが分かった。

 

「先に行く。ダリル、二人を頼んだ。」

「分かった!二人は任せとけ!」

 

俺はその場所へ向かい走り出す。

 

数十秒走ると、ゾンビやスケルトン、他にも三つ首の異形や、皮の垂れ下がる犬のような魔物が見えてきた。

 

周囲には誰かの装備品と思われる剣や杖が転がり、そして服の切れ端が落ちていた。 


「……ッ!!」

 

俺は一層脚に力を込めると、得物を大きく振りかぶり、魔物の群れへ突っ込んだ。

 

力を込めて剣を振るだけで、魔物達の腕や頭が飛んでいく。


「たぁッ!!」

 

スケルトンの斬撃を背中に回した剣の柄で弾き、遠心力を利用して斬り上げる。


三つ首の異形から放たれた液体を回避すると、後ろのゾンビが跡形もなく溶けてしまった。


「ふっ!!」

 

五本の足を一本ずつ斬り飛ばし、最後に残った頭を刈り取る。

 

三分ほど戦闘が続き、異形が居なくなると魔物達も途端にその数を減らし始めた。

 

「クリス!!」

 

追い付いてきた ダリルが、俺にスタミナ回復のポーションを投げてきた。

 

冑の隙間から流し込み、また剣を振るう。

 

さらに追い付いてきたアリスと少女が俺達二人を支援する。 

 

その後も魔物は順調に数を減らし、遂に最後の一匹が崩れ落ちた。

 

「はぁ…はぁ…」

 

ダリルはよほど疲れたのか、武器も放り出してその場に座り込んでしまった。

 

俺も流石に疲れはしたものの、ポーションが効いているのでまだ余裕があった。

 

「…ぅ…ぁ」

 

今にも消えそうな声を聞いた。


俺は迷うことなく魔物達が折り重なって倒れている場所に向かい、その死骸を掻き分ける。

 

「ひゅぅ…ひゅぅ…」

 

女の子。

まだ息があった。


俺は彼女を抱き抱え、開けた場所に寝かせる。

 

「ありが…とう、ございます…」

「ああ!!そんな…っ!!」


酷い状態だった。

真っ白な肌には至るところに噛み跡や切り傷が刻まれ、腸も服の裏からはみ出し、眼球も片方が抉られている。

しかも、両腕は手首から先が消失しており、所々白い骨が見えていた。

 

「クリス…この娘…」

「…分かってる。」

 

『長くはない』

 

アリスは暗にそう言っていた。


 

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おい、ダンジョンってさ、稼げるらしいぜ 鈴村 りくを @Marron0904

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