disから始まり、愛で終わる

鏡征爾さんの著作『白の断章』と、坂上秋成さんの著作『惜日のアリス』を並行して読んだことがあった。『白の断章』は2009年刊行、『惜日のアリス』は2013年刊行。結論を言えば、『惜日のアリス』のほうが面白かった。2009年と2013年の時代の差異が読者である僕に影響を及ぼしていた。僕は異性愛よりもLGBTを好んでいた。『白の断章』は僕の中で急激に劣化していった。2013年に鏡さんが『戦国BASARA3 毛利元就の章』を書かれていたことも劣化の要因に繋がったかもしれない。

それから数年が経った。突然、鏡さんのツイッターアカウントからフォローされた。以前に少しだけやり取りしていたのを鏡さんは覚えていてくれた。そして、ここで新作小説を連載していることを告げられた。そこには『白の断章』をダブステップ・リミックスしたような過激さがあった。それは振り切れていた。今の時代の言葉を使うなら、ポリコレ棒で叩かれそうな野蛮さがポエムの下に隠されていた。少女性はフェミニズムよりもセクシズムに近かった。「……みんな、死んでしまえばいいのに……」 そう思った読者の僕の想いにシンクロしたかのように、登場人物は人体崩壊していった。人間のおぞましさを真正面から捉えたいから、神である作者が、創造物である登場人物を無慈悲に破壊していったのだろう。「……神の思想とは如何なるものなのか?」 読者の僕がそう思っていた時に物語は終幕を迎えた。それは、エンデの『はてしない物語』に匹敵する終幕だった。

……かなり荒削りだけど、『少女ドグマ』を最後まで読んで、こんな想いを抱きました。もう、劣化だとか言っている次元ではないですね。……そして、この小説がコンテストで賞を取り書籍化されるのかどうかも気になります。「角川さん、この過激な小説を商業出版する勇気があるんですか!?」と言いたくなるけど、まずは結果を楽しみにしています。