少年少女のイノセンスは孤独を知った魂に宿る。

壊れなければ生きていけない危うさや脆さを見つめる作品で心臓が締め付けられそうだった。そういった締め付けにどこか覚えがあるような気がして、話題の『分人主義』に近いのかと思って読み直したら、どちらかというと一遍上人の思想に近いのかなと感じたけど、よくわからない。けれどそのわからなさや不可解さは切ないけれどどことなく懐かしくて、その儚さもまた心地いい。声にならない悲鳴をあげては怯えていたかつての少年少女から、現代の暗部という暴力に日々晒され続けている少年少女への物語。この作品は徐々に陰鬱な詩情に満たされていくけれど、踊り狂うような展開にどこか救いを感じる。無駄に明るい作品よりも、陰鬱な詩情に励まされる人は少なからずいる。少年少女のイノセンスは孤独を知った魂に宿り、その魂に共鳴する響きこそが青春のもたらすグッドネスなのだろう。思うようにいかない現実に直面するときに訪れる『絶望』、そしてその『絶望』を生き抜くために必要とされる『物語』。小説を書くということに対する書き手の真摯な姿勢が、とても好感が持てて、完結が待たれます。

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少女ドグマ

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