毎日をただ退屈に生き続けていた1人の男。そんな彼の前に現れたのは、この星の半分を必ず司り続ける存在、「夜」と「朝」で……。闇や恐れのイメージが強い夜ですが、一方で植物はこの夜の闇の時間を利用して季節を知り、闇に紛れる事で命を繋ぐ動物もたくさん存在します。一方で、明るく暖かな日差しもその度が過ぎれば、過去に金星で起きたと言われている事態のように、全てを干上がらせてしまうと言います。正と負、それぞれの側面を持つ者と出会い、男はどう対話をするのか……。心を揺さぶらせるような、印象深い短編作品です。
小生も『朝』が残酷だと思ったことがある。それは『朝』が、誰一人として『夜』に――――、安息の時間に――――、置き去りにしてはくれないからだ。 しかしこの作品は主人公を『夜』が訪れ、『朝』が訪れる。 そして主人公が抱える「あの夏の日」については、多くを語らず、読者を置き去りにしている。
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