小生の感覚とは、真逆だった。

 小生も『朝』が残酷だと思ったことがある。それは『朝』が、誰一人として『夜』に――――、安息の時間に――――、置き去りにしてはくれないからだ。
 しかしこの作品は主人公を『夜』が訪れ、『朝』が訪れる。
 そして主人公が抱える「あの夏の日」については、多くを語らず、読者を置き去りにしている。