最終話
「ここはどこ…」
メリッサは目覚めた。
「気が付きましたか」
白い蛍光灯に白い天井、薬品の匂い…メリッサは病室にいる事を自覚した。目の前に白衣を着た医者が立っていた。
「私、どうして」
「事故のあった家から救出されたんです。火傷も少なくて奇跡的でした」
「そんな…夫は?ブラットは?」
「残念ですが亡くなられました」
「ブラット…」
メリッサは泣き出した。
「私だけが生き残って…カイル…」
メリッサは泣き崩れた。
「ママ!」
頭に包帯を巻いたカイルが駆け寄ってきた。
「ああ、カイル!良かった。生きていたのね。カイル…」
メリッサは大声で泣いた。
「あのね。ソフィがありがとうって」
「そう、ソフィが助けてくれたのね」
メリッサとカイルは小声で話して抱き合った。
1ヶ月後…
メリッサとカイルは隣の街のアパートで暮らしていた。
その間に警察の捜査が行われ、瓦礫と化した家の地下室から数人の血液反応と子供の骨片が発見された。
その血液の中にブラットの親族と思われるものが含まれており、見つかった骨片は鑑定の結果、発見された血液とは別のブラットの親族の少女だとわかった。
この家に住んでいたブラットの祖父母が当時カルト教団に入信していた噂があったが、ブラットの親族にソフィという名の少女はいなかった。隠し子の可能性もあったが結局わからずじまいだった。
家があった場所は整地されて空き地になった。そして現場で見つかった骨片はメリッサが近くの墓地に小さな墓を建てて埋葬した。
墓石にはこの言葉が彫られた。
『小さな魂に穏やかな眠りを…』
ソフィの家 久徒をん @kutowon
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