追放教室。2限目

1

「え?新しいゲームって?」

「裁判ごっこ。」

「は?」

佳と結月が言った。

「ルールを説明するね。」

まず、教室内の誰かがカンニングとかすれば、その人は裁判にかけられる。

裁判で判決を下され、追放になった人は即退場。

「分かった?」

華李はフフッと笑った。

クラスのみんなが唾を飲み込む。

「あ、あの。裁判官は誰がするのですか?」

地味なクラスメートの斎藤莉子が言った。

「そんなの、この私に決まっているでしょ」

華李が不機嫌そうに言い、莉子をじとーっと睨む。莉子はとっさに

「そ、そうですよね」

と、言って黙りこんでしまった。

「みんな、ダレでも悪さをしていたら言いに来てね。ちゃんと褒美もあげるわ。」

「えぇ!?褒美?」

褒美という言葉を聞いてクラスじゅうがざわついた。

「じゃあ、1限目のチャイムがなったらスタートね」

華李は、クスクスと笑う。

みんなは知らなかった。このゲームが残酷なゲームだなんて……


2

は?くそ!冗談じゃないぞ!

相原 涼は心の中で怒っていた。

何が裁判ごっこだ?そんなしょうもないこと、こっちはしてられないんだよ。

そもそも、華李なんかお嬢様だからって調子のりすぎなんだよ…!!

涼は、かけているめがねをいじいじと触った。涼がイライラしている時の癖だ。

何故、こんなにイライラしているかというと、涼は学年で勉強はトップなのだが、実はいつもテストをカンニングしているのだ。コレがバレれば、成績は愚かクラスメートの信頼も無くなってしまう。

なので、涼はこのゲームをやりたくなかったのだ。でも、やりたくないといえば華李の取り巻きに何をされるか分からない。

「………」

バレないようにするしかないよな。

涼は、心の中で呟く。しかし、見つかればどんなことをされるか分からない。

中間テストは、明後日だ。良い策を考えなければ…

携帯を取り出す。「yappu」という携帯のアプリを立ち上げた。「yappu」とは、趣味などで繋がるチャットアプリだ。質問をすればスグに返信は来る凄いアプリだ。そう、涼は思っていた。涼は早速yappuを開くとタグで、「カンニング」「バレない」と検索した。

すると、何100件もあった。涼は、にこりとした。

「ねぇ、涼くん。」

え…?

背後に気配を感じた。

慌てて振り返る。そこには、君嶋恒星がたっていた。

「なにしてるの?」

「え?なんで?」

「だって、君…」

恒星が涼の耳元に口を近付けると

「今、テスト カンニング で、検索してたでしょ?」

恒星が小さく呟いた。

「なっ…!!」

「まぁ、前から知ってたんだけどね。君、いつもテスト中変な動きするから」

恒星がクスクスと笑う。まるで涼が焦って困っている顔を喜んでいるようだ。

な、なんなんだよ。悪趣味な奴だな…

「そ、それがなんなんだよ?」

「…僕と組まない?」

「…え?」

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追放教室。 海宙 @20040908

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