多感な高校生たちを、ある事件を起点として描かれた物語。
今作は高校生を主役に置いてありますが、あの兄妹がわたしたちの前に帰ってきてくれたのです。それも一人前の成人となって、です。
ミステリーである以上、仕掛けは勿論しっかりとあります。が、今作ではトリッキーな謎解きよりも、人の持つ内面や心理の解明に重点が置かれています。したがって、単なるパズルの解説書を読むような味気なさではなく、物語としての醍醐味を充分味わえます。
読み易いから軽いお話、なのではなく、濃度のある内容をいかにして読み手のストレスなしに読ませるか、という手練手管を持った作家だからこそなしえる技ですね。
最後のパーツがカッチリはまる、謎解きの手応えも好きですが、今作のような見えない部分を描き出す物語、あるようでなかなか無いですよ。
『よくある兄妹-ふたご-の思考実験-thought experiment-』の外伝的な作品。
……と言ってしまうのは非常に勿体無い!
単体でも勿論楽しめます。が。
よくある兄妹を読んでいると、もっともっと楽しくて仕方ない!
あの二人が脇役って、主役をくってしまうのではないかとドキドキしたのですが、それは杞憂でした。
くっそ、いいキャラしてやがる……。
あんまりここで詳しく言えないんですけれども、すごく好きなタイプの謎だったので大変楽しめました。
「今回は真相が解ったぜ!」とガッツポーズ仕掛けたのも束の間、相変わらず巧みに騙されました。
ここまで来ると騙されるのがもはや快感です(笑)
本作自体は外伝という立ち位置ながら、本作のみでも十分楽しめる一作になっています。それどころか、本作のみしか知らない方しか楽しめない見方、本作も本編も知っている方だからこそ楽しめる見方。両方が揃った素晴らしい構成となっており、ぜひ多くの方に読んで欲しい一作です。
私は本編も読了済みでしたので、特に本編の主役である二人の成長と変化に終始微笑ましい気持ちで楽しめました。
人は時と共に変わる部分、変わらない部分。そのどちらもが存在しているという当たり前の部分を、丁寧に、かつわかりやすく表現しており、どこかノスタルジックな気持ちにもなってしまいました。
この一遍に限らず、ぜひまた機会があれば外伝展開を見てみたいと思わせる一作でした。もし本編未読の方がおりましたら、ぜひぜひ、本編の方も目を通されることをお勧めします。また違った楽しみ方を本作はきっと提供してくれることでしょう!
いまやカクヨム産のキャラミスとしては一、二を争う知名度を誇る(推定)『よくある兄妹』シリーズの番外編です。
今回は、本編シリーズの10年後を舞台にして、この外伝オリジナルのキャラクターを主人公に物語が進みます。
と言っても、涙(兄)と泪(妹)の活躍は従来通り。
大人になった二人の立場も色々変化はしましたけど、互いの関係性についてはあくまでそのまま引き継いでいます。
というわけで、本編シリーズがお好きな方であれば、今回のお話も安定して楽しめるでしょう。
ところで、ホント「妹」というものは概念的に何歳になっても妹以外の何者でもないわけなんですが、まあさすがにこの年齢で本編シリーズそのままの志向性を保持し続けている妹ちゃんのキャラクターは、むしろ逆に斬新かもしれません。
少なくとも世の中のラノベ系美少女キャラで、すでに学生じゃないのに妹属性を全力で前面に打ち出してるヒロインとかって、世の中にどれぐらい居るんだろう……。
果たして、全国のお兄ちゃんは妹という属性に対して、設定上何歳までナチュラルに萌えられるのかッ!?(問題提起)
兄妹の番外編、堪能させていただきました。
まずは個人的な感想ですが「兄妹」の成長した姿が見たいと希望し、それが瞬きする間に叶ったこと、夢のようです。
ありがとうございます。
「兄妹」の番外編に位置するので、本編を読んでいる方はニヤニヤ笑いが止まらない作品です。
かといって、本編を読んでいない人に優しくないのかというとそうでもない。実際、本編よりも「薄味」なので、こちらの方が取っつきやすいかと思います。
ライトで読みやすい、けれども謎解きの醍醐味は十二分に味わえるので、初めてミステリを読む人にぴったりだと思います。
作品の細部を取り上げて、ここが良かったのと力説できないのが「ミステリ」の難点ですが、ネタバレにならない部分で一つだけ。
心理を扱い、論理的解決だけが真実ではないというこの妙味。沼地を歩くような解答と、そこへ集約される物語は秀逸です。
この作品は『よくある兄妹-ふたご-の思考実験-thought experiment-』の外伝小説ですが、主人公は新キャラなので本編を知らなくても楽しめます。でも、本編を予習してから読むとさらに10倍楽しめるので、ぜひ本編も読みましょう! ブラコンのルイちゃんが可愛いヨ!
さてさて、本作は小説などでもよく使われる性別誤認トリックが題材なのですが、読者を一度驚かせるだけでは気が済まずに二度驚かせて読者がひっくり返っているとろこにさらに追い打ちをかけることで定評のあるドS……じゃなかった、サービス精神に溢れる作者様は今作でもただの性別誤認トリックでは終わらせません。
そして、今作の外伝で主人公となるのが、保険医のルイちゃん先生が大好きな新キャラ・沁(しみる)です。沁は春休みに起きた「ある事件」のせいで心を痛めていて毎日保健室に通っています。ルイちゃんと保健室で二人っきりなんてうらやましい……。
本編キャラの濃さに食われて影が薄くなるのではという要らぬ心配もしなくていいほど、沁もしょっぱなから濃ゆい(ルイ先生はぁはぁ(*´Д`)的な)モノローグを語ってくれて、面白くて奥深いキャラになっていますので楽しんで読めます。
あと、本編を知っている読者にしてみたら、「ルイちゃんが保健室の先生なんて……。立派に成長して……(´Д⊂グスン」と涙ぐんでしまうかも知れませんが、ルイちゃんの本性は何も変わっていないのでご安心を(笑)
『よくある兄妹』本編を読んでからこの外伝を楽しんでいいし、先にこの外伝から入って心理学の面白さに触れてみるのもいいでしょう。そして、本編とこの外伝を読んだら、『よくある兄妹』シリーズには他に2つの他作品とのコラボ小説があるので、そちらもおススメします。
本編からでも楽しい!
外伝からでも面白い!
コラボ小説でさらにワクワク!
そして、どのシリーズでもルイちゃんは変わらず可愛い!!
心理学ミステリーと二転三転するストーリーに病みつきになりだしたら、すでに作者様によってあなたは調教済み!
それが『よくある兄妹』シリーズなのです!
みなさん、お楽しみあれ~!!
沁はカウンセリングを受けていた。
仲の良かった重治と光と男女混合で仲良くしていた楽しい日々が崩壊したからだ。
保健の先生 泪に紹介されたカウンセラーが綴る、崩壊した出来事への真実とは――
「よくある兄妹-ふたご-の思考実験-thought experiment-」の兄妹がちょっと大人になって登場するスピンオフ。
副題に注目しながら推理すると一層楽しめます。
事件の推理以外の謎要素に、貴方も挑んでみてはいかがでしょうか?
※これを読む前に「よくある兄妹-ふたご-の思考実験-thought experiment-」を先に読むことをおススメします