あとがき

 考えてみれば、あとがきなんて書くのは初めてですね。

 でも人の書くあとがきなんかは楽しみだったりします。

 ということで書いてみようかと。


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 まずですね。

 これを書いたのは例のコロナが始まる数年前でした。

 私の中では少し古い作品ということになります。


 基本的にはトムソーヤーみたいな話が書きたいと思って書き始めたものです。そこにカート・ヴォネガットの風味を足したものが書きたいとSF設定なんかも盛り込んでいきました。


 そういった意味で、個人的には思い入れのある意欲作ということになります。

 

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 そのSF設定として、『ノック』という病気が世界中に広がります。

 いわゆるお金持ちばかりがバタバタ死んで、世界ががらりと変わります。

 まぁ荒唐無稽な設定ですね。


 でもこれはコメディーでもありますので、それもまたありかなと。

 コメディーとSFの組み合わせは、そういう意味で無敵ですね。


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 さて今のコロナ禍の状況は、この物語の中で書いた状況と根本的に似ているところがあります。

 世界ががらりと変わり、社会の良しあし、個人の良しあしまで、否応なくあぶりだしている気がしてなりません。


 世界の在り方、人の暮らし方、そんなものが根底から変わりつつあるのでしょう。

 というか、見つめなおす時が来ている気がします。


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 SF小説の面白さの一つは、荒唐無稽な状況を正確にシミュレートすること。

 そこに何が生み出されるのか、変えていくのかを物語として論理的に記すこと。

 つまり虚構の中にリアルを生み出すことだと思うわけです。

 そこには莫大な想像力が必要です。


 しかし実は、わたしはこの想像が苦手でして。

 この物語の中ではそんなところまで書き出すことはできませんでした。


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 現実はたった一種類のウィルスが、はるかに大きな規模で、こんなにも速く、世界中を混乱へと叩き落してしまったわけです。


 この現実を前に、わたしの想像力なんてまったく追いつきませんでした。

 まぁ私もただのムニャムニャだったというわけです。 


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 しかしながら、こういう状況になっていることは直視しけりゃなりません。

 起こったことは戻せないですからね。


 その上で考えなければなりません。


 こんな時代に何が必要なのか?

 どうやって切り抜ければいいのか?


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 わからないことだらけです。

 たぶんみんながそうでしょう。

 だからこそ、が必要なのかと思います。


 自分のことだけでなく、他人のことも想像すること。


 今の時代に欠けてきているのはそういうものなのかなと。


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 そろそろ真面目な話なんてウンザリだ! なんて声が聞こえてきそうですね。


 まぁ書いてきたのはやっぱりコメディーですし。

 

 色々含めて楽しんでいただけたなら、作者としてこれ以上の喜びはありません。




 とにもかくにも、お読みいただきありがとうございました! 

 心からの感謝の気持ちをこめて。



 関川 二尋

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ボーイズダイアリー 関川 二尋 @runner_garden

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