小気味よい、そして格好いい!
キサラギ氏の(いい意味で)乾いた文体が遺憾なく発揮され、スノーボールアースにおけるポストアポカリプスという題材を成立させています。
しかし、ドライなばかりではなく、キャラにも機械にもどこか愛嬌が感じられるのです。滅びの世界を生きる人々の独特な感性、たくましさ。この時代にあっても凍るまいとする人間の熱量が、文面を通して活き活きと伝わって来るのが見事ですね。
ロボ好きとしては、スキー板を履いたロボット〈スライダー〉にも注目せざるを得ません。
そう来たか…! と言いたくなってしまうくらいに明快な発想ですが、それ故に面白い。
決して現実離れした存在ではないメカがメインになっていることで、遠い未来にあり得る滅びの世界がより一層親しみやすい形で描かれているのかも知れません。
SFとしても、冒険譚としても面白い作品です。
この凍える冬にこそ、是非ご一読を!
辺り一面、雪に囲まれた世界。ある村には王子と呼ばれるラックがいた。
そのラックですが、崖に落ちてアンドロイド『ニューク』と死闘を繰り広げて、何故か友情が芽生えてしまったのです。その辺が何とも男らしいというか暑苦しい何かが感じて、思わず笑みが零れてしまいました。
それである理由で、古代の都市に行くラック達。その旅で使用するのはスライダー『シャマシュ』。
スライダーとは雪の世界を駆ける為のロボットらしい。脚部にスキー板が付いている辺りが、雪の世界に対応していると同時に、このスライダーのユニークさを表現していると思います。
旅の途中に待ち受ける幾多の困難。果たしてラック達は古代の都市に辿り着ける事が出来るだろうか?
スノーロボットストーリー、一見の価値ありです!