第3PLAY もう一人の女の子

 ∥次の日の朝∥


 昨日の事もあり、よく眠れず。

 いつもより朝早くに学校に来ていた俺は特にすることもなかったので、寝不足からの睡魔に負けて一人、自分の席について寝ていた。


「まい君!おはよう」


「・・・・」


「おはよ~」

「ねぇーてばー」

「お・は・よ・う」


「・・・・」


 俺にはさっきっから、俺の席の近くから、つい最近きいた、というか昨日きいた声が聞こえている。

 そう俺はとっくに起きていてのだ。

 そう俺はわざと寝たふりをしているのだ。

 えっ?なぜ、いますぐ起きてあいさつしてくれている人に対して、あいさつをしないのかだって?

 その答えはとっても簡単だ。

 話しかけてきた相手が猫桜こころさんだから。もっと言うと女の子だからだ。

 そして、俺は第一にチェリーボーイである。

 だから、今となっては昨日どうやって俺が女子と会話したのか、さっぱりわからないのだ。

 だから、さっきから話さないように寝たふりをしているのだが・・・・・


「なにしてるの?猫ちゃん?」


「えーとね。さっきから、まい君に起きて~って言ってるんだけど・・・」


「あ~寝てるんだ。前桜君」

 ん?誰か一人増えたぞ。この声からしていつも、猫桜さんと仲良くしている朝倉莉奈あさくらりなさんかな?


「あれ、猫ちゃん前桜君と普段話してたっけ?」


「い~や、話してなかったよ。だけど昨日、一緒に前桜君と帰ったんだ」

 えっ!言っちゃうの?こころさん!やめてよ、なんか恥ずかしいじゃないか!

 それに、女子の情報の伝達スピードはくそ速いってきいたことがる。

 だから、俺が可愛い子、猫桜こころさんと帰ったことがクラス全体に、いや学年全体にバレちゃうじゃないか!

 そうなったら、猫桜こころさんは男子からもかなりの人気があるから。

 俺に男子たちが何かしてくる、かもしれないじゃないか!

 だから、「こわいからやめてよー!」と言いたいが寝たふりをしている俺は言えるはずもなく・・・・


「ふ~ん、怪しい!なんかあったのかね、猫ちゃん?」


「ななな、何もないよ~。ただお話しただけ」

 そそそうです何もありませんでした。

 ただただ、こころさんとお話しして帰っただけです。

 朝倉さんのせいで、なんかこっちもあせっちゃうじゃないか。

 いかん、いかん。冷静に俺は寝たふりを続けなければ。


「ほんとかな~怪しいな~何か隠してるね、猫ちゃん!親友に隠し事はいけないよ~。このおね~さんにはなしなさいよ~」

 この、いかにもSな感じ口調は、間違いない朝倉莉奈さんだ!


「ほんとだよ~信じてよ莉奈ちゃん」

 と焦っている猫桜こころをみて朝倉さんは笑い出し

「うそ、うそ!怪しんでないよ!冗談だよ~猫ちゃん反応いいから、からかってただけだよ~」


「む~、莉奈ちゃんやめてよ~からかうのは!」


「ごめん、ごめん」

「で、猫ちゃんなにする~}


「ん?何するって?」


「決まってんじゃん!い・た・ず・らだよ!」


「まい君に?」


「そうそう」

 え?なにいってんの?朝倉さん俺寝てるんですけど!

 これ以上俺をこまらせないでよ、朝倉さん!


「いたずらってなにするの?」


「そ~だな~。まい君のお耳にぎにぎするってのはどうかな?」

 おーーーい!そんなこと、するなよ!俺はたぶん耳が弱いから声が出てしまうだろ!そしたら、嘘寝がばれるじゃないか!


 そして、嘘寝がばれないようにするには、どうしたらいいか俺は考えていると、聞き捨てならないことが聞こえてきた。


「でもさ、まい君寝顔ってかわいいからもっと見てたいのもあるから、起こすの自体やめるってのはど~かな?」

 突然、猫桜さんが変な事を言い出した。


 なに?俺の顔がかわいいだって?またまたーなにを言ってんですかーこころさん。

 俺はそこらへんの男よりかは、顔はととのってるほうだと自分で思っているので、かっこいいて言ってくれるならまだしも。

 え?なんだってお前ナルシストだったのかだって?

 ちがう、俺はただ、自分大好きちゃんなだけなんだよ。


 話を戻すが。

 可愛いって自分で思った事もないし。言われたことも、子供の時はあったかもしれないが最近はない。

 だから、俺の顔が可愛いなんて実感がわかない。


 あーそっか、わかたぞ!俺が寝ているのいいことに、親友の朝倉莉奈とのガールズトーク?的なののネタで俺を馬鹿にしているのか、猫桜こころさんは!


「確かに、まい君の顔が可愛いってクラスでこの前、噂なってたよね。どれどれ寝顔はどうかな~」

「ほうほう確かに、こりゃあ可愛いですな」

 続いて、朝倉さんがいきなり俺にむかって爆弾的発言を投下した。


 それにたいして、今までの彼女らの発言で少しずつライフを削られていた俺はそれに、耐えうる防御力をもっておらず。

 俺は息がつまってしまい。

「げほっげほっげほ!」

 とリズムよく三回も咳こんでしまった。


「おっと。今、お目覚めかな、前桜くんは。あと少しでいたずら出来たのに~」

「おはよう、まい君っ」


 どうしようもなくなった俺は、眼を開けて頭を起こすと

 笑顔で黒髪の長い猫桜こころさんとニヤニヤ笑った薄赤ショートボブの朝倉さんが二人並んで俺の目の前にたっていた。


「おお、おはようです、猫桜さんと朝倉莉奈さん」


「よく寝れましたかな、前桜くん?」

 とニヤニヤして朝倉さんが聞いてくる。


 たぶん、二人の顔を見るからにして、猫桜さんは気が付いてないだろうけど、朝倉さんは、この顔からして俺が寝たふりをしていたことにきずいてたな。

 この人はわざと俺が困るような事をさっきから言ったんだ。

 俺のにがてなタイプかもしれない、この人は。

 しかも、女子だからなおさら俺にとってまずい。


 さっきの、朝倉さんの発言に対して聞きたいこと何個かあるけど、猫桜さんは俺が寝ていたと思っているのできけない。


 朝倉さんの問いに関して俺は

「いえ、まだ寝たりないです」

と丁寧に答え


それに対して、朝倉さんは

「なぜに、敬語?」

と顔を傾けながら俺に聞いてきた。


 そんな、だって話せるわけないじゃないか!俺を誰だと思ってんだ、斎藤さ・・じゃなかったチェリーボーイさんだぞ!


それを見ていた猫桜さんが

「あー昨日いったのに!タメ語でいいの同級生だから。何度いったらわかるだ~まい君は」

 と、む~と少しほっぺを膨らませたこころさんが注意してきた。


 怒ったこころさんマジ可愛い。


おっといけない、見とれないであやまらなくては

「ごめんなさいじゃなかった、ごめん」

「今度から気を付けるよ」


「うん!絶対だよ」

 とニコって笑いながらこころさんがいった。


 笑ったこころさんもマジ可愛い。

 とこころさんを見ながら微笑んだ俺を朝倉さんはじーと見つめて


「かわいい」

 と真顔で俺に言ってきたので

 恥ずかしくなった俺は顔を伏せて


「可愛くなんてなぇーし俺は」

 と答えた。


 そんな俺を見た朝倉さんは

「ふ~ん」

 と言葉を漏らして笑って

「まい君のこと、私すきかもっ」

 またもやいきなり、真顔で俺の眼を見ながらいいだした。


 そんなことをいきなり言われた、俺はもちろん

「えっあの、えっとあれですね、えっあのですね」

 とてんぱってしまい、緊張で考えることができなくなった。


 猫桜さんも

「いきなり、何言ってんの、莉奈ちゃん!・・・」

 とかなり動揺しているようだ。


 そんな俺たちを見て朝倉さんは笑い出して

「冗談だよ、冗談」

「ごめん、ごめん前桜君はどういう反応すのかなって気になっちゃって」

 と手を合わせながらいいだした。


 からかわれていたのに、真面目に受けとってしまった俺は、かなり恥ずかしくなり顔を赤らめて顔を伏せて

「からかうなよ」

 とつぶやき


「そうだと、思ったよ~びっくりさせないでよ莉奈ちゃん!」

 と猫桜さんも緊張してたのか、わからないがほんのり頬をそめて朝倉さんをつついていた。


 そして猫桜さんがいったのと同時に教室のドアを開けて自分たちの担任の先生が入ってきた。


「朝のホームルームはじめるぞ。みんな自分の席につけー」


 先生の掛け声でクラス全体が自分の席につきはじめる。


 俺はすでに自分の席についているので動かないでいい。

 猫桜さんの席は俺の席がクラスの真ん中らへんなので俺の席から右斜めにある。

 朝倉さんの席は俺の二つ後ろの席だ。


 猫桜さんが先に「またね」と言って自分の席に戻っていく。


 続いて朝倉さんが席に戻りはじめる。

 すると俺の横を通り過ぎようとして、いきなり彼女は止まり俺の耳元まで顔を近づけて

「なんか、まい君って難しいって思ってたけど案外チョロそうだね」

「さっきのも冗談じゃないかもね」

 と早口でニコって笑って朝倉さんは自分の席に戻っていった。


 最後にそんなこと言われた俺はまた恥ずかしくなって先生の話どころではなくなりしたを向いて考え込んだ。


「それってどういう意味なんだ?」

 そして

「俺ってチョロいのか?」

 と。

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俺ってもしかしてチョロい男? マイ龍 @maeryumaai

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