落っこちた木の実⑨

「い、いや、ちょっと待ってください!」


猿は慌てて言いました。


「私は、皆さんを助けようとしたわけではありません。ただ落とした木の実を拾おうとしていただけなんです。全然そんなかっこいい奴なんかじゃないんです。だからそんな感謝する必要なんてないんです。そんなたくさんの木の実も受け取れません」


ですが、他のみんなは言いました。


「あなたが私達を助けるつもりじゃなかったのは知ってましたよ」


「それでも、結果として助けてくれたのは嬉しかった」


「自分ではそんなつもりじゃなくても、知らないうちに誰かを助けていることはあるもんなんだ。そしてそれは間違いなく君自身の手柄なんだ。君がいなければ救われない誰かがいたということなんだから」


猿はしばらく頬を赤くしてうつむいていましたが、やがて顔を上げてこう言いました。


「どういたしまして。木の実、ありがとうございます。そしたら、今度からはみんなで一緒に木の実取りに行きませんか?」


だから、もしあなたが森で猿と亀と鳩とリスが仲良く青い木の実を食べているのを見かけたら、それはこういうわけなんです。

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落っこちた木の実 PURIN @PURIN1125

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