落っこちた木の実⑧

最後に、リスが言いました。


「私は昨日、木の上でドングリを集めていたんだ。だが恥ずかしい話、うっかりしていて木から転落してしまった。


木の下には池があって、私はそこに落ちた。また恥ずかしい話だが、私は泳ぐのが苦手だから溺れてしまった。なんとか陸に上がろうとはしたが、落ちたのは池の中央あたりだったからなかなかたどりつけなかった。


意識が遠のきかけたころ、君が池に飛び込んだのが見えた。それからしばらくして、君は陸に上がろうとした。その際、私は必死で君の脚にしがみついた。そのまま私は陸に上がり、地面に横になることができた。


君は池に入っただけのつもりだったのかもしれないが、そのおかげで私は池に沈まずに済んだ。本当はすぐにお礼を言いたかったが、まだ呼吸が苦しくて言えなかったんだ。だから今日お礼に来た。本当にありがとう」


猿は、池から上がる時少し片脚が重くなった気がしたのを思い出しました。

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