落っこちた木の実⑦

次に、鳩が言いました。


「僕は、昨日草むらで遊んでいたんだ。


そうしたら、遠くからいつも僕の仲間を食べてしまう狐がこちらに歩いてくるのが見えたんだ。狐は僕に気付いてなかったみたいだけど、僕は逃げられなかった。


まだ近くに来られたわけじゃないし、鳩なんだから飛んで逃げればいいじゃないかと思うかもしれないけど、あの時は怖くて怖くてまったく動けなくなってしまっていたんだ。


そうしているうちに、狐は正面を向いたままどんどん近づいてきて… もうだめだと思った。


すると、狐は君に話しかけられて横を向いた。視線が僕から反れたことで、僕は我に返った。それから、急いで飛んで逃げたんだ。


君は狐に話しかけただけのつもりだったかもしれないけど、そのおかげで僕は食べられる前に逃げられたんだ。本当はすぐにお礼を言いたかったけど、逃げなきゃいけなかったから言えなかった。だから今日お礼に来たんだ。本当にありがとう」


猿は、狐に声をかけた時、バサバサと鳥が羽ばたく音をかすかに聞いたのを思い出しました。

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