これはミステリか? と言われると悩ましいのですが。
最近のライトノベルで一大ジャンルとなっている異世界転生もの、それによくある「転生者にはひとつだけ望む力を与えられる」という設定をテーマにした短編です。
こちらの世界で死んだ主人公のヤマトは女神様にこの問いを投げかけられ、満を持して「全知全能(アカシックレコード)」と答え、意気揚々と異世界へ転生していくわけです。
オチを言ってしまうとアレですので、どうなるかはご自身の目でご確認を。
ただ、つけられている【どんでん返し】のタグの意味を、すごい勢いで思い知らされるってことだけは言わせていただきますね。
そのオチの妙は落語のようであり、風刺のようでもあり、壮大なアンチテーゼのようでもあり……
ともあれあなたの心にシニカルな爽快感を刻み込んでくれること確実です。
(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=髙橋 剛)
女神と主人公の掛け合いが面白くて、自分もこんなに面白い会話が書けたらなあと思った。
ミステリーとは提示された証拠をもとに謎を解くものだと私は考えている。
だから、ファンタジーを入れ込む時も、ファンタジー部分をしっかりと論理立てて、世界の物理法則に頼るところは矛盾しないように作り込まないとフェアネスを欠くと考えている。
その点で、この作品はあくまでフェアである。
ファンタジーの定義は過不足なく提示されており、世界の物理法則と違う部分はない。無駄もない。ファンタジー要素を入れ込んだ作品として、とてもクオリティが高いと感じた。
ぜひ、この問題に挑戦して見て欲しい。