ひとちがい #25
「クッソ、何なんだ
腰を抜かしていた田中が、
「大丈夫か?」
「ああ。つか、お前何だ?」
「探偵の叶。コイツはオマケ」
叶が
「何よオマケって! ウチのおかげで
「そうだったな」
受け流す叶の前で、田中は名刺を受け取ると
「助けてもらった礼は言う。だが俺は探偵には用は
田中はぶっきらぼうに告げて、薫から受け取ったボストンバッグを抱えて立ち去ろうとした。その肩を左手で
「待てよ、そっちに無くてもこっちにはあるんだよ」
「うるせぇ!」
田中は声を
「うごぇっ」
「あ〜、アニキ
横から
「
足元で
「てめぇ、何しやがる」
腹を押さえながら、それでもバッグを
「オマエには居てもらわなきゃ
田中は
「オイ、飲み物買って来てくれよ、コイツの分も」
叶が玲奈を振り返って指示すると、玲奈はスマートフォンに目を落としたまま
「何だよ?」
叶の
「決まってんじゃん、お金」
叶は
「カフェ行く前に
「ばれたか」
玲奈は舌を出しながら
「ああ、ついでにビニール
「何で?」
足を止めて訊く玲奈に「後で教えてやる」と告げると、叶は田中の横にしゃがみ込んで
「なぁ、何で
「何でそんな事?」
訊き返す田中に、叶は微笑と共に返した。
「別に言いたくなきゃ言わなくていいぜ、ちょっと興味があっただけだ」
田中は顔を
「
「どうして?」
叶が
「どうしてもこうしてもねぇよ。大体、『田中』って
「それで、『狩野リョウ』の名を
田中は
「リョウと高校で会って、ギターの
「つまらん理由だな」
叶が言うと、田中は横目で睨んだものの、すぐに
「何とでも言え」
そこへ、コンビニエンスストアのレジ袋をぶら下げた玲奈が戻って来た。
「はい、ビニール紐。それと、コーヒーでいいでしょ? そっちの人も」
玲奈が自分の
「サンキュー」
礼を
「ホラ、飲めよ」
田中は少し
「ちょっと手貸してくれ」
「何すんの?」
玲奈の質問に、叶は
「手首を
「なるほど、OK」
「警察、呼んだのか?」
叶はコーヒーを
「ああ、オレの知り合いのデカをな。
「俺を? 何で?」
真顔で訊き返す田中に、叶は
「オマエ、殺人現場の近くに
「免許? ああ、そうだったのか」
叶の
「オマエ、何でこの社長と会ってたんだ? しかも殺されそうになるなんて、どう言う事なんだ?」
田中は手首を
「人殺しだよ、この女は」
《続く》
こぶし探偵ともちん 松田悠士郎 @IDEA_JAM
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