至極、真っ当で、王道で、真っ直ぐな、ライトノベル

 今時珍しい、と言えば良いか、どこか懐かしくノスタルジーを感じると言えば良いか。

 我々が想像しうる日本的な文化の中に紛れ込む、異国情緒の闇鍋にも似た世界観。
 頼りなさげながらも、芯はある主人公の責任と行動を伴う成長譚。
 彼を支える個性豊か、且つ、親しげな魅力溢れるキャラクター達。
 対立する巨悪組織や、敵とも味方ともつかない暗躍者。

 作品を構成するそれらガジェットの数々を目にして、覚える既視感。
 それが、至極、真っ当で、王道で、真っ直ぐなライトにしてライトなノベルを読んだという感想だ。

 安易安直と口にするのは、やや乱暴であろう。

 おそらく、作者の『好き』が詰まった本作は、まだまだこの先に物語はあり、戦いは続き、傷付き、立ち上がり、成長していくであろう。
 語り尽くせぬキャラクター達の像も、よりはっきりと際だってくるはずだ。

 そういった創造の奥行き、物語の可能性を秘めた魅力を共有できることに、読者諸君には喜びを感じてもらいたい。