日本で二番目に低い山が一番になった!

駅員3

『日本一低い山』争奪戦

 かつて日本で一番低い山は大阪市の天保山で、日本で二番目に低い山が仙台市にある日和山と言われていた。

 天保山は、大阪市港区にある。国土地理院の測定によると海抜4.53mで、その頂上には二等三角点(地図を作成するために用いられる基準点)が設けられている。

 1831年(天保2年)に大型の船を通しやすくするために、延べ10万人を導入して歴史に残る淀川の大浚渫を行った。その際浚渫して出てきた土砂を河口付近に積み上げてできた山が天保山である。ちなみに天保山には『山岳会』もあれば『山岳救助隊』も結成されている本格的な『山』である。


 日和山で、標高6.05mで、仙台市宮城野区の仙台港に近い蒲生干潟にある築山である。明治時代に、漁師が出漁の際に天候を推測する(日和る)ために、日和山が築山された。全国各地の海岸沿いに日和山は残っているが、仙台の日和山ほど有名な日和山は他には無いのではないか。

 かつては、国土地理院の地形図に記載された一番低い山といわれていたが、1996年に大阪の天保山が『山』として掲載されると、その地位を天保山に奪われた。


 2011年3月に発生した東日本大震災の際、津波の直撃を受けた山は消滅してしまったと思われていたが、2014年の国土地理院の測量で、日和山は標高3mの山と認定され、日本で二番目に低いと言われていた山は、再び『日本で一番低い山』という称号を手に入れたのである。

 日和山も天保山もいずれも人工の築山であるが、自然の山として一番低い山は徳島市にある弁天山で、標高は6.10mである。


 ところで、『山』の定義はどうなっているのか、気になるところである。広辞苑を引くと、「平地よりも高く隆起した地塊」とあるが、「標高〇〇m以上」というような明確な説明はない。つまり、地元の人々がここは『山』だと認識して名づければ、それが山なのだ。

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