陸に上がった金魚④

ある日の真夜中、カエル達が寝静まった頃。

金魚はひとり目を覚まし、水面へと近づきました。

今のうちに地上に出る練習をしておこうと思ったのです。

できるだけ遠くまで跳ねて行ってみよう。

水中でめいっぱい息を吸い込むと、勢いよく池から飛び出しました。


金魚は気付いていませんでした。

今夜は厚い雲が空を覆った、月どころか星も一つも出ていない真っ暗な夜だということに。

そんな闇の中、しかも息ができず意識が朦朧とした状態では、池を見失って帰れなくなってしまうということに。



翌朝、池から出てきたカエル達は、金魚が池からだいぶ離れた地面の上で動かなくなっているのを見つけました。

よほどもがき苦しんだのか、金魚の周囲の土にはヒレでつけたような引っかき傷やら、掘り返されたような跡やらでデコボコでした。


「なんてことだ。一体どうしてあの子は、僕達の友達は死んでしまったんだ」


カエル達は、何も知らずに嘆き悲しみました。



そして、金魚の遺体を葉っぱにくるむと、それはそれは丁寧に土に埋めました。

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陸に上がった金魚 PURIN @PURIN1125

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