陸に上がった金魚③

それから、金魚にとって大変な日々が始まりました。


頑張って池から飛び出してはみたものの、やはり地上は金魚が過ごせる場所ではありませんでした。

普段液体に住んでいる金魚にとって、土や草などの固体の感触はとても気持ちの悪いものでした。

歩こうとしてもヒレでは立ち上がれず、仕方がなく横になったままビチビチと跳ねて移動しなければなりませんでした。

小さな石が身体中に当たって傷ができ、あちこちに痛みを感じました。

そもそも、息ができないのです。苦しくて苦しくて、生きるのに精一杯で、結局、いつもたいして遊ばないまま池に逃げ込んでしまうのでした。


そのたびに、カエル達は言いました。

「頑張れば地上でも遊べるようになるよ。諦めないでもっと頑張らないとだめだよ」


金魚は、私にはやっぱり無理だよと言いたかったのですが、自分ひとりのために他のみんなに迷惑をかけてはいけない、自分ひとりが我慢すればいいことだと思い、そのたびに「わかった。頑張るね」と苦しそうな笑顔で答えるのでした。


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