幻景市随想

作者 カクレナ

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★★★ Excellent!!!

 日常のありふれた風景と思わせておいて、それを裏切る短編集。
 ただ不思議なだけではなく、社会風刺や皮肉を含む物語も多く、この辺りが題名にもなっている「幻景」なのだろうと思った。
 例えば、風車の町が登場する一話。主人公はその町の風車は、発電機であると思って、その町の人に話しを聞くのだが、その風車の正体を聞いて予想を外す。 
 また、男女のかみ合わない話しでは、ホラーの要素がある。男性の方がかつて女性と行った思い出の遊園地の話をするのだが、女性の方は全く違う記憶を持っていて、ゾクリとする。人間の印象は後から作られることもあるし、見る人によって記憶しているものに差異はある。しかしこの物語は、根本的な記憶に隔たりがあるのだ。
 個人的に強烈だったのは、「爬虫類ラーメン」だった。美味いラーメンは食べてみたいが、店主の秘密に驚愕する。
 この作品を拝読すると、箱の中身を感触だけで当てるというゲームを思い出す。
 是非、ご一読ください。

★★★ Excellent!!!

光と影が永遠に終わることがない円環を描き続けているように。日常の裏には非日常が背中あわせにひそんで、誰かが踏んでくれるのを今か今かと待ち続けているのではないかと、こちらの小説を読んでいるとなにか薄ら寒い予感を覚えました。

普段ならば気にならないことがふと気になってしまうことは、誰にでもあることだと思います。ずっと通っていた道に、その場にあるはずもないものを見つけてしまったときのような。これまで何度も通りがかっていて気がつかなかったのか、それともいま、現れたのか。
曖昧な境界を、気づかずに踏んでしまったようでぞくりとするのだけれど、もっともっと、そちら側に歩み寄ってみたくなります。いえ、歩み寄らずにはいられなくなります。

なんとも好奇心を誘われる、素敵な小説でございます。
どの御話も情景描写が素晴らしく巧みで、不思議な風景がありありと目蓋の裏に浮かんで、実際にその場にいるようなきもちになりました。

ひとつ、読めば、あなたもきっとその不思議な世界から抜けだせなくなるはず。

★★★ Excellent!!!

本作はまず夢から始まる。
野犬の唾液、風車、幻想都市。
幾つかの現実と非現実が混ざり合い迷走し、そして何時しかお互いの時間を侵して行くのか――。

現在作者様が投稿されている7話まで読みましたが、これはまだ序章に過ぎず物語の核心は未だ隠されていると感じました。
にも関わらず独特のタッチで書かれる情景描写及び、高い筆力によって作中の仮想現実にダイブしているような錯覚にとらわれます。

俺TUEEEやチーレムに飽き飽きしている方は是非読んでみて下さい!

★★★ Excellent!!!

たとえば見慣れたいつもの景色、たとえばずっと続くと思っていた日常……
ふと視点をかえてみるとガラリと別世界になってしまう。
そんな半歩ずれた所に存在しているかもしれない『if』。
この世界観にふれたあなたも、きっとウズウズとする奇妙な心地に包まれることでしょう……!