概要
美しい雪の下には、何かが隠されている。二人の少年が織りなす残酷童話
そこは市民が書物を読むことが許されない世界。
貧民街に暮らす少年のトムは、禁書を処分する仕事に従事していながら、盗み出した書物を親友のセシルに贈っていた。
トムは美しく、聡明なセシルを慕っていたが――
貧民街に暮らす少年のトムは、禁書を処分する仕事に従事していながら、盗み出した書物を親友のセシルに贈っていた。
トムは美しく、聡明なセシルを慕っていたが――
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!あの日の美しかった君へ、今は手向ける花もなく
薄汚れた貧民街に雪が降る。
すべてが白く隠されていく。
白い雪の美しさは親友に似ている。
トムは、雪も親友も好きだった。
父とともに貧民街に住み、禁書を焼く仕事をするトムと、
トムがこっそり持ち出す禁書を読んで知識を得るセシル。
不条理の中で生きる2人の少年の友情は、ある日あっさりと――。
トムは、己の姿かたちや愚鈍な頭脳を美しくないと言い、
セシルは、雪が隠す醜い貧民街に己の心をなぞらえる。
互いに互いを、美しくて手の届かない貴いものだと羨みながら。
私の目には、どちらも美しいと映った。
ほかに選びようのない道を精いっぱいに生きる。
その姿は哀れでいとおしくて美しい。
救いのない物…続きを読む