長命を得る為に、一人の人間を選んで食べる。そんな使命を背負い、ある街にやって来た青年、ウル。
喫茶店でアルバイトをしながら、食べるべき人間を選定しようと過ごしていたウルの前に、もし人並みの体格ならば誰もが振り返るだろう美貌を持ちながら、恐ろしく瘦せこけた女性、ノラが現れる。店に通い始めた彼女は、煙草とコーヒーを嗜みながら読書をして過ごすのだが、食事は一切摂ろうとしない。
そんなノラに興味を持ったウルは、ひょんな事から彼女と交流を持つ事になる。然しウルの選定の使命が、そしてノラも背負う抗い難い運命が、二人を報われない恋へ叩き落とす。
作品の紹介文にあるように悲恋を扱った作品ですが、ただそれだけでは得られない読後感を味わえます。
たとえば作中に現れる、「人を殺す時に必要なものとは何か」という問い。
スマホと言った現代を思わせる道具が余り登場しない事からか、古い映画のようにゆったりと流れる、作中での時間。
喫茶店のシーンでは、暫く飲んでいないコーヒーを飲みたくなって、匂いは好きなマルボロを思い出しました。
そしてウルは、人を食べるという使命を全うするのか。ノラが背負う運命とは何なのか。何故、二人の恋は報われないのか。
本作のタイトル、「紅心中」の意味を知った時、きっと言葉に出来ない気持ちに打ち落とされる。
この最高の悲恋、是非見届けて下さい。
正直言葉に出来ない。元々語彙力がない、というのもあるけれども、読み終えた後、ウルとノラのそれぞれの心情、決して叶うことのない悲恋が胸に突き刺さります。
ウルが喫茶店に居なければ、ノラが喫茶店に入店しなければ…なんて考えますが、二人の時間は決して無駄なものではないし、ウルが恋を知ることもなかったんだろうな、とも思います。そして結末に鳥肌が止まりません。
ウルとノラ以外の登場人物も魅力的で、一人一人いるからこそ物語が成り立っているのだなと思います。個人的にジュリアが好きです。おちゃらけたキャラクターかと思えば、ウルを気にかける描写もあり、なんなんだこの男は…、と、あるシーンで惚れました婿に下さい。
1時間少し、のめり込んで読めました。煙草が吸いたくなりました。貴方の言う通り、どちゃくそに好みです。語彙力を下さい。涙ちょちょぎれたのは秘密です。あまり書きすぎるとネタバレになるので、後日個人的に作者に殴り込みに行きます。
「普通」ではない。「普通」にありたくない。
人として生きている以上、それは誰もが抱く感情であると思う。しかし「普通」でないことは、時にひどく辛く、苦しい。
それでも「普通」ではない自分を、他者から理解されたいのは何故だろう。その気持ちは一体どこからやってくるのだろうか。
とかく『人食い』など、その最たるものだろう。
現代社会で仮に『人食い』をすれば、それは只の犯罪である。罪は免れないことも想像に難くない。だが物語の中であれば別だ。それは新しい側面を覗かせる。可能性を導き出す。
これは『普通ではなかった人たちの恋の話』である。
人々の「普通」でありたくないという本質は、もしかするとそこに集約されるのではないか。この作品を読んで、改めてそう思った。
ぜひ、一読されてみてください。
主人公のウルの前に現れた、病的に痩せている女性。そんな彼女をウルは美しいと感じる。
恋の予感がする序盤。しかし彼がこの町に住んでいる目的は、人を食べなければいけないという掟の贄を探すこと。
父は贄として人間を食べた。その贄に、父は恋をしていたと言った。
そしてウルは……。
読後感を何と表現すればいいかわかりません。せつない、では足りない気がするのです。彼の彼女への強い思いが胸に刺さります。
単純に応援すればいい恋ではなかったのが、またなんといえばいいのかわからない感情が沸き上がってきます。
読んで感じたことをうまく表現できなくて申し訳ないです。
でも確かにこのストーリーに惹かれていました。
悲恋が好きな方は読んでみてください。