やさしい音楽、ほろ苦いけど砂糖たっぷりのコーヒー、微睡む煙草の匂い。

「普通」ではない。「普通」にありたくない。
人として生きている以上、それは誰もが抱く感情であると思う。しかし「普通」でないことは、時にひどく辛く、苦しい。
それでも「普通」ではない自分を、他者から理解されたいのは何故だろう。その気持ちは一体どこからやってくるのだろうか。

とかく『人食い』など、その最たるものだろう。

現代社会で仮に『人食い』をすれば、それは只の犯罪である。罪は免れないことも想像に難くない。だが物語の中であれば別だ。それは新しい側面を覗かせる。可能性を導き出す。

これは『普通ではなかった人たちの恋の話』である。

人々の「普通」でありたくないという本質は、もしかするとそこに集約されるのではないか。この作品を読んで、改めてそう思った。

ぜひ、一読されてみてください。

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