醜い「瞳」を見出して、彼女はこれからどうするのか。

可愛いは正義。
クラスを動かす力を持つことが楽しい。
文菜たちのグループは目立つ存在で、
思いどおりにならないことなどないくらいだ。

夏休み明け、転校生が来た。
綺麗な顔立ちとハスキーな声の彼女が、
文菜に強烈なトラウマの過去を思い出させる。
彼女、理瀬は、文菜のかつての「親友」だった。

10代女子のいじめが、残酷にも克明に描かれる。
理不尽だけれど、残念ながら、ありふれた話だ。
どうしようもなくて手首を切ってしまう衝動も、
それを抑え込むたびに苦しみを思い出す惨めさも。

鏡の中に醜い「瞳」を見出した文菜は、
この後、理瀬の前でどんな選択をするのか。
願わくは、不幸な理不尽を繰り返さないように。

でも、女子ってそう純朴な生き物ではないんだよね、全然。
きっと凄惨なストーリーが延々と続いていってしまうねと、
えげつない想像を掻き立てる、凄みのあるラストが印象的。

目を背けたい、背けられない。
突き付けられるリアリティに、苦しくなる。
青春時代を描くなら、生ぬるくないのがいい。