エピローグ:世界はひっそりと平和になる

インクリスを倒した後バルンは、魔王バルクロムとしてそのまま城に残ることにした。


「一度街に戻ってこればいいのに」


「そういうわけにもいかん。俺が力を取り戻したことは、すぐに魔族に知れ渡る。その時に俺が人間の街に入り浸っているなどと知られるわけにもいかんからな」


「そういうもんか」


「ああ、そういうもんだ」


「そういえば、俺にやって欲しいことがあるって言ってなかったか?」


ロミロフが思い出したように尋ねる。


「ん、ああなんだ、魔族が人間を襲う前に、最初にロミロフのところへ行かせてみようかと思うんだが、どうだろうか?」


「つまり、僕がすべての魔族から人間を守るってことか」


「どうだ?」


「ああ、もちろんやらせてもらうよ」


「大変になると思うから、ここに住んでもいいんだぞ」


「いや、流石に俺がここに住むとなると、魔族がビビるだろ? しばらくはあの街で暮らすよ」


「そうか、たまには来いよ」


「ああ、じゃあな」


そういって、ロミロフをバルクロムとノエラは見送ったのだった。

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魔王様の人間世界逗留記 三田村綯夜 @kuzusaki

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