傷つきすぎた脆い心に、救いの手が届きますように。

 10万字で大変よくまとまっていると感じました。
 諸般の事情から引きこもっている大学生男子と、どこかズレた人工知能が一人の悩み苦しむ少女を不器用な二人三脚で救い出すために奔走する。
 起承転結が利いており、登場人物も多すぎず、文章もくどくなく、読む側に苦労させないように物語が仕上がっています。

 この話はこれで完結ですが、あくまで「ケース1」を解決したかのような形で終わっており、今後彼らはまた別のターゲットを救うことになるのだろうな、と読み手に続編を匂わせる後引きにもなっております。
 機会があればまたどこかで俊介とアキ、それに麻耶と会ってみたいものです。

 文庫本一冊くらいの、それもいい話で終わるようなものをちょっと読みたいなといった方に特におすすめです。

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