2.「おもしろい設定」には「おもしろいキャッチコピー」!

 はい、始まりました。

 盗作レシピで一分クッキングのお時間です。


 材料は「おもしろい設定」のみ。


 前回までに温めておいた設定を持ってきて、ぱっとキャッチコピーを付けるだけ。


 ◆雑内容 - 「心臓の病気×ヒロイン × ギャンブル」

 前例が少ない奇病で、心臓を負担をかけてはいけないヒロインがギャンブル!

 10億円(金額はテキトー)を稼げたら、それを医療費にこの奇病を治せる。

 しかし、心臓を負担をかけてこなかったヒロインは、ギャンブルという、生死を賭けた勝負魅力にのめりこんでいく...。


 キャッチコピー「生きるために、自分の心臓をすり潰す」


 はい、出来上がり!

 考えることは語呂の良さと見た目だけ、以上!




 ……はい、ふざけてるわけではないです。ちゃんと解説します。


 そもそもキャッチコピーとは、今あるものを「どう魅力的に見せるか?」という話です。おもしろくないものを魅せるのは大変です。おもしろいものを魅せるのは簡単。簡単に言えばそんな感じなんですが、さらにそこに前回までの「おもしろい設定」の作り方に一つ秘密があります。


 「設定をつくろう!」では、その作品の魅力はなにかを分解して見ていきました。そこから変更していったのです。

 つまり、


『◆魅力

 ・心臓病 + ドキドキさせる(ジレンマ)


◆留意点

 ・ヒロインがドキドキを望んでいること

 ・ヒロインが病気持ちと、主人公が知ったときの葛藤(=それを行う理由)』


 ここから

 

『 「◆魅力」にプラス要素を加える

 例1.・心臓病 + ドキドキさせる + サトラレ(心の声が聞こえる)


 「◆魅力」に同要素で別のものに変更する

 例2.・心臓病 + ドキドキ(恋、お化け、ドラッグ、背徳行為、露出、ギャンブル)


 「◆魅力」に拡張法・縮小法を使う

 例3.・心臓病→パンデモミック + ドキドキ (ゾンビモノかな?)』


 こういう要素を足したわけです。


 つまりは、魅力がすでに決まっています。

 で、現在のキャッチコピー「生きるために、自分の心臓をすり潰す」


 心臓病 + ドキドキ。

 ただ、これを素直に書けばいいだけです。


 ここでは真反対の要素がすでに書かれています。真反対の要素を一緒の文に入れるのは、キャッチコピーのセオリーの一つです。

 実は、このキャッチコピーは「例2」の部分であげたものにおおよそ代用できるものだったりします。

 でも、このまま使うのはあまりよくありません。語呂・見た目などからいくつか言葉を変えたりして試行錯誤したほうがいいです。


 人には、ぱっと一見しただけで読んでしまう文量というのが決まっています。なので、キャッチコピーは短いほど読まれます。それでいて内容が凝縮されているほど良いです。なので、要らない要素はできるだけ切り捨てましょう。


 ここではちょっとした小技を使っていきます。句読点(「、」「。」)などで区切れば、そこで一見では読まれやすくなります。


・「生きるために自分の心臓をすり潰す」

 ↓

・「生きるために心臓をすり潰す」(要素を減らし凝縮させる)

 ↓

・「生きるために、心臓をすり潰す」(パッと見でさらに読みやすくさせる)


 切ない恋愛系ならこういうのもいいですが、今回はギャンブルの雰囲気を出したいので、ダッシュ(―――)と倒置法を採用したいと思います。


・「心臓を擦りつぶす―――生きるために」(最終案)


 ギャンブルものでこういう煽りついてたら格好良くないですかね? 私はかっこいいと思います(唐突な自画自賛)


 ただ、ここで削ぎ落としたものをもう一度拾わなくてはいけません。


 ここではいわゆる「だれが」「テーマ(ギャンブル)」「キャラの魅力」などですね。

 カクヨムのキャッチコピーを見るときに、通常一緒になっている要素があります。


 そう、タイトルです。

 タイトルは第二のキャッチコピーです。

 こちらにその要素を入れます。


 タイトル案一覧

・「命賭けヒロインっ!」(「命懸け」と「命を物理で賭ける」を掛けているらしい)

・「賭けっぷちヒロイン」(崖と賭けの発音が似てたとかそんな理由)

・「彼女は今日も命を賭ける」

・「賭博少女フェイス」

・「命賭け少女フェイス」(最終案)


 「フェイス」は今付けたヒロインの名前です。彼女を表す魅力や武器(ポーカーフェイス)を名前に織りこみました。


「命賭け(=ギャンブル作品の明示+「命賭け」と「命懸け」の遊び)」

「少女(=ヒロインが戦う作品の明示)」

「フェイス(=表情が鍵となるという暗示)」


 タイトルとキャッチコピーが決まったので並べてみましょう。



心臓を擦りつぶす―――生きるために

     命賭け少女フェイス/柳の人


                 』


 並べてみるとこんな感じになるわけですね。

 いかがでしょう?


 次回は、拙作を例に『キャッチコピー応用編』をするつもりです。

 つまり、拙作が皆様に盗まれるわけですね、楽しみです(ΦωΦ)フフフ…


 では、また次回!



 ◆余談

 これで「フェイスちゃん」は外国人かハーフかのイメージがつきますね。人形みたいに無表情でハーフの女性。いいね、いいですよ、これ。主人公がヒロインに目を惹かれた理由もわかります(作者の趣味)。ヒロインのイメージがつきやすいっていうのは一つの武器になりえますからね。


 ◆余談2

 キャッチコピーを読まれやすく区切る方法はいくつかあります。

 ・句読点 、。・

 ・カギ括弧 「」、『』

 ・ダッシュ ――、……

 ・記号 ?、!、M(メートル)など

 ・文字における数字など 例「君を救うための101の方法」など


 ・漢字におけるひらがな(区切りとは違うけど紹介)

 漢字とひらがなは独特な区切りができる


1.「心臓を擦り潰す―――生きるために」

→心臓を/擦り/潰す


2.「心臓をすり潰す―――生きるために」

→心臓を/すり/潰す

(ひらがな同士であっても、「てにおは」などの後は区切りができる。ただし、漢字+ひらがなの区切りよりは弱くなる)


3.「心臓を擦りつぶす―――生きるために」

→心臓を/擦りつぶす


 区切りが少ないほど目に優しく読みやすい。なので3が一番読みやすい。ただし、1のような区切りを多くすることで、文章の硬さや作風が重厚な雰囲気を伝える意図として使われることも。



 

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