全てがつながっていく。

 序盤は大島紬の工房にいるように感じる、緻密な情景描写と共に主人公の祖父の人柄もにじみ出てきている。最初に音で始まるので、音楽を聞いているような気分にもなった。
 題名にあるように「紡ぐ」のは、何も大島紬だけを指しているのではなく、人間関係も紡がれ、過去から未来へと紡がれていく壮大な話そのものだ。この壮大で優しい音楽のような話を、うまく規定文字数内に収めているところが、作者の筆力がうかがえるところだろう。
 そして主人公の名前にも注目だ。

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