主人公の私と沖縄を重ねて

街コンは全くノータッチであったため、どういう作品が求められていたのかはわからない。だが、この分量で街と人をストレートにリンクさせつつも、過剰に重ね過ぎず主人公を一人の登場人物として独立させ、心の移り変わりを描き切った作者の視点と力量に感服する。

ひとり除け者にされている主人公だが、打ちひしがれているわけではない。その考え方はユニークで、心の中で周囲に悪態を溢し自分を保つ術を持っている。

だけど、周囲に悪態をつき続けても旅行は決してきらきらしないとも知っているのだ。

誰かを見下さないと得られない矮小な
安心。
という表現が秀逸だと感じた。

この矮小さはおそらく、主人公のクラスメイトだけではなく、主人公も、そして私たちも持っているもの。

この小説はその矮小さとどう付き合っていくのかを考えるヒントをくれた。

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