街コンは全くノータッチであったため、どういう作品が求められていたのかはわからない。だが、この分量で街と人をストレートにリンクさせつつも、過剰に重ね過ぎず主人公を一人の登場人物として独立させ、心の移り変わりを描き切った作者の視点と力量に感服する。
ひとり除け者にされている主人公だが、打ちひしがれているわけではない。その考え方はユニークで、心の中で周囲に悪態を溢し自分を保つ術を持っている。
だけど、周囲に悪態をつき続けても旅行は決してきらきらしないとも知っているのだ。
誰かを見下さないと得られない矮小な
安心。
という表現が秀逸だと感じた。
この矮小さはおそらく、主人公のクラスメイトだけではなく、主人公も、そして私たちも持っているもの。
この小説はその矮小さとどう付き合っていくのかを考えるヒントをくれた。
主人公の境遇に関する設定が、読んでいる最中も頭から離れませんでした。沖縄を題材にするが故の設定ですよね。これがために、観光地のルンルンした雰囲気が押しやられています。作者の意図も、そこに有ると思います。
でも、作品から離れて自問するに、我々本州人は沖縄を仲間外れにしているんですかね。確かに最優先で沖縄に関心を寄せてはいませんが、無関心になっている地域は本州にも多々有るし...。土人発言は売言葉に買言葉に過ぎないんじゃないかと個人的には思います。主人公の畜生発言と同様で...。件の機動隊員の方が精神的に追い込まれてないか?の方も気になります。
まぁ、来年以降のトランプ大統領時代に基地問題が少しでも解決の方向に動くと良いですね。
星の数は、短編にはMAX2つが信条だからです。
ところで、作者は、あの「教会へ」を書かれた方だったんですな。一風変わった視点が冴えた方だと思います。褒め言葉ですよ、念の為。