戦場のオナニスト

我々は知っている。もうとうに世界は行きづまりを見ているのだと。
しかしそれでもなおも、絶望の中にありながらも、手製のみすぼらしい殺傷力などまるでないダンボール製のナイフを振り回し、ありもしない変革の祈りを込めて往来でそれを振り回す時、そこに初めて文芸が生まれるのではないだろうか。少なくとも彼の姿勢には、他の手先と手癖ばかりで書かれたどの作品よりも“戦い”がある。