もっと、読んでいたかったなァ……

最後、それまであまり動きのなかった話に変化が訪れます……

ですが、主人公深山湊介の、そこに至るまでの心理と行動の描写こそが白井さんの最もやりたかったことなのではないでしょうか?
ストーカーぶり(笑)が丁寧に書かれており、嫌がる浦波翠の顔が思い浮かびます。

ネット時代にはびこる対人関係の薄さを風刺する……という諷示。これはカムフラージュだと思えます。
“アンセムの主旋律”はそこにはなく、あくまでも人同士の関係性こそが作品の内角線。
その偽装がラスト付近の意外感を生み出しています。

願わくば……もう少し読みたかった!

最後の二話だけで数話分のボリュームが出せたと思うのですが……動的で濃い部分がダイジェストだったのが残念。

次回作も楽しみにしています。