等価交換の法則ではないですが、Aを手に入れるためにBを失う。主人公のキャラ設定は秀逸だと思いました。主人公は嫌がっていますが、闇社会で縦横無尽に活躍するダークヒーローを演じさせたら面白い娯楽小説を書けるだろう、そう私は思いました。
さて、恋愛物の本作品ですが、安心して読めます。
SF好きが読むと、途中で「ん?」と感じるでしょうが、恋愛物ですから、其れは主題ではありません。疑問を封印するように! そうしないと楽しめません。まぁ、堅物のSFファンである私は気になって仕方なかったのですが、主人公に「俺の時間も読み始める前まで戻してくれ!」と念じながら読了しました。
尚、私は別作「龍神池」の方が好きです。1万字前後の短編なので、読んでみては如何でしょうか。
第49話まで読んでのレビューです。
時間を戻す能力を持つユキという青年、そして不治の病に侵されてる奈美、この二人の物語が交互に描かれていく物語です。それは奈美の日常と出会い、ユキの過去と現在の思い、そういった物語が時に触れあいながら、静かに静かに積もっていきます。
物語は一章のキリがよく、語り口の良さもあってどんどんと読み進めていけます。ユキの持つ能力が発現していく過程などはSF的でもあり、二人の出会いは抒情的で、それでも真ん中には恋の物語がしっかりとあって、と様々に物語は変転していきながら飽きることがありません。
物語は佳境を迎えたあたりだと思います。
ぜひラストまで連載を追いかけて欲しい物語です。
第26話までのレビューです。
時を戻す能力を持った青年ユキと、不治の病から奇跡的に回復した奈美。
ほんの僅かな接点の中で、時折奈美の記憶の欠片がきらめきます。
最新話ではユキの過去が少しずつ明らかになっている段階ですが、読み進めるとともに彼がなぜ奈美と距離を保とうとするのか、うっすらと感じとれる気がします。
とても美しく儚く切ないお話です。
これからの展開に目が離せません。
11/13読了。
明るい光が降り注ぐような、温かくて気持ちのよいエンディングでした。
奈美の記憶を消したにもかかわらず、完全に彼女の目の前から消えることができなかったユキ。
自分に恋人がいたことを知り、携帯電話に残っていたアドレスに思い切ってメールをした奈美。
二人は思い出の丘の上で会う約束をします。
彼らのその後は──
ぜひ本編でお楽しみください。