俺もネリリ、ハララしてみたくなった

なんだ。なんだろう読みながら感じていたこの興奮は。


例えるならこれは、キャバクラで嬢にせがまれ、税込みでようやく5桁に乗るようないっちばんクソ安いシャンパンなら開けてもいいぞとニヤつきながら言う時のような興奮ではないか。残念ながらその経験はないので確証は持てないが、なまめかしい印象はこの作品の興奮と通じるものがある。はずだ。たぶん。

意味? 意味なんか分からない。これは確かに詩のようで、小説と呼ぶにはあまりにも物語過ぎる。
物語。そう物語だ。それが、まだ「物語られるもの」でしかなかった頃の物語だ。小説という賢しらな工芸品が生まれる前からあるものだ。

俺はこの作品を読んでいなかった。眺めていた。火星の人類学者を眺めていた。そして、それが楽しかったのだ。

火星の人類学者、という名の筆者の影が語るあれやこれやが、とても楽しかったのだ。


ごちそうさまでした、と言う他ない。