抱きしめて。そしてその唇を私に寄せて

 幻想的、とはまさしくこの作品のことを言うのだろう。一気に読んで、まずそう思いました。
 秘密の園に住まう謎めいた人と通う無邪気な少女、というのはけして珍しくない設定であり展開なのですが、作品全体の空気がただただ独特で、美しい。咲き乱れる花の様子も、ユンフォアが想いを募らせていく過程も、派手な描写や場面がなく、いっそ淡々としたところすらあっても伝わってくる。そして、この結末。個人的には、これもまた「めでたし、めでたし」で終わる御伽噺なんだと思います。

 あと、番外編の御夫婦の後日談が好きです。しっとりとしているような、ひたすら可愛らしいような。本編を読んでからだと、ユンフォアの話は切ないですが……あと、双子のはちと怖い……。